「春だ! 花見だ!」 と心ウキウキ楽しい季節。でもチョット重厚気分になって平林寺探索をしてみませんか。
境内の雑木林が芽を吹いています。加えて今年のNHKの大河ドラマは「葵・徳川三代」。そういえば平林寺には、徳川家光ゆかりの松平伊豆守信綱のお墓もありました。
都民農園からだとサイクリングにほどよい距離。MTBじゃなくてもママチャリでOK。黒目川の谷越えてひと汗かいて。これで500gはダイエット。天気のよい日の午後、思いたったら武蔵野の散策が楽しめる名刹平林寺へ、さあ出かけましょう毎年4月17日(月)には伝統行事の半僧坊大祭がにぎやかに繰り広げられます。
入山料 大人200円。
入山時間 9時〜16時
(5月15〜21日、6月1〜7日は摂心期間のため拝観休止)
平林寺の歴史
正式には金鳳山平林禅寺。臨済宗妙心寺派で、開基は石室善久。
武蔵野の原野だったこの地に平林寺を建てたのは、川越藩主松平信綱の子輝綱。父信綱の遺言により寛文3年(1693)埼玉県岩槻にあった平林寺を所領野火止に移築したのが当地でのはじまりです。以来約300年、境内には武蔵野が昔のままに残っています。
拝観のポイント
なんといっても平林寺の魅力は禅宗伽藍の美しさ。質素ながら落ち着きあるたたずまいです。それに国指定の天然記念物境内林。境内林は約56ヘクタールの雑木林で、クヌギ・コナラ・イヌシデなど武蔵野ならではの落葉樹の林です。秋にはどんぐりがいっぱい。足元にはクマザサが広がり散策すれば健康にもよさそうです。森のエネルギーを享受し、森林浴を楽しむにはこうした季節がいちばん。伝説の野火止塚、業平塚もひっそりと。周遊には約1時間。
このほか、注意深く歩くと境内には歴史上の有名人の墓がたくさんあります。オリエンテーリングのように一つひとつ探してみてはいかが。
忘れてならないのが平林寺境内に流れる野火止用水。玉川上水から新河岸川に向かう用水の一部分です。平林寺周辺に流れる本流沿いのハイキングもなかなかよいものです。
ところで、平林寺は禅寺で修行の場。修行の邪魔にならないようくれぐれも気をつけましょう。
松平信綱の墓
松平信綱は羽生の里の代官大河内家に生まれ、叔父松平正綱の養子となり家康に仕えました。たくさんいる下級家臣のひとりで、とても老中までのぼりつめるような家柄ではなかったようですが小さいころからずば抜けて優秀で、三代将軍徳川家光の小姓に抜擢。幕府の財政を担当してどんどん出世し、一万石大名の伊豆守に。さらには家光に仕える老中として大活躍。のちに川越七万五千石の城主となり、武蔵野の新田開発や野火止用水を引いたりしてこの地域の開墾に貢献しました。
本堂の背後、見事な墓石が立ち並ぶ大河内松平家の廟所、歴代の五輪塔の中に信綱夫妻の墓が仲良く並んで立っています。
安松金右衛門の墓
信綱の家臣安松金右衛門は土木や数学に通じ、野火止用水建設の総監督を担当。新宿区にあった彼の墓は、昭和初期に平林寺に移されました。信綱公の墓に向かう小道の左手にささやかな墓があります。
半僧坊大祭
平林寺の行事で新座市あげてのビッグイベント。山門左手の感応殿に祭られている半僧坊さまのお祭りです。
半僧坊とは山の神のような方で、お参りすれば「禍転じて福となす」とか。
お祭りのクライマックスは、2時頃からの僧による「お練り」。今ブームにもなっている雅楽の音色が古式ゆかしい荘重な雰囲気を盛り上げます。大般若経の転読は目を見張るほど迫力あるパフォーマンス。ほかに稚児行列、伊豆殿行列(1時頃)があり、門前にぎっしり並ぶ露店やひるねの森の大植木市も見逃せません。
この日総門は大きく開放され、境内への出入りは自由となります。交通規制もありますのでご注意を。大祭については新座市産業振興課048‐477‐1111へ。
平林寺周辺
●ひるねの森
お昼寝のできるところではありません。平林寺の前にある茶店です。お散歩の後で一息入れたり、チョットしたおみやげを買ったり。となりに有料駐車場があって、マイカーで来ると、ここにとめることになります。駐車料一回500円。
●虫プロダクション
「空を超えて、ラララ…」鉄腕アトム。あの手塚治虫さんが主宰したアニメーションスタジオ。境内北側のこもれび通りにひっそりと建っています。静かな雰囲気の中、数々の名作アニメがここで作られていたことは感慨深いものです。
●ニューアマンド
アマンドといえば六本木交差点に代表されるケーキの店。各地にチェーン店がありますね。そのお菓子も製造している工場兼販売店。虫プロのさらに先、野火止小学校の向かいにあります。ピンクに白抜き文字の看板が目印。
●精進料理「むさし野」
平林寺の南側を走る道に面している精進料理の店平林寺お墨付きの本格精進料理が味わえます。ヘルシー志向の人には最適です。店構えも和風で落
ち着いた雰囲気。
●手のべうどん「たけ山」
平林寺の前のバス通りに。名物の手のべうどんが大人気。うどんを中心にメニューは豊富で、「あれがダメこれがダメ」ととかくうるさい家族連れには絶好。店の脇に駐車スペースあり。道が狭いので上手に駐めてください。4月16日まで「花見祭り」期間。
●バーデホフ・クベレ
平林寺前のバス通りと川越街道の交差点。今はやりの日帰り温泉ですが、新座温泉彩泉楼とは雰囲気がチョット違います。ドイツ語の名前が物語るように、欧風でおしゃれな施設。水着着用の屋外と屋内にある温水温泉プール、ミストサウナや各種サウナ・アスレチックジムなど、いろいろと本格的ですよ。決まった時間に行われる屋外サウナでのアロマテラピータイムも、とてもよい香り。併設してホテルがあって、ちょっとしたリゾート感覚が味わえてしまいます。広い駐車場あり。入場は2時間で2000円一日券・半日券など各種。
お知らせ
●平林寺歴史講座
petitぶんか村創刊特別企画
郷土史家の藤井孝文先生に、平林寺の興味深い歴史を解説していただきながらながら新緑の美しい境内を歩きます。
日 時:2000年5月29日(月)14時から16時
申込み:本紙編集部までハガキまたはFAXで
締切り:4月末日まで、先着15名
現地集合・解散参加費無料(入山料は各自負担)
*藤井先生は案内書「平林寺」の著者。同書は平林寺入山受付所で買うことができる。300円
●鑑賞の手引き
増田長盛ってどんな人?
NHK大河ドラマ「葵・徳川三代」で佐藤慶が演じるところの増田長盛は、石田三成などと並ぶ豊臣家五奉行の一人。奈良の大和郡山城主だった。ドラマでも知られるとおり、西軍について関ヶ原の合戦に敗れた長盛は、高野山に追放される。その後岩槻城主に預けられるが、やがて自刃。当時岩槻にあった平林寺に葬られたが、寺の移転とともに長盛の墓も当地平林寺へと移された。大河内松平家の立派な墓石群に比べてかなり質素な墓は、厳しい戦国の盛衰を物語っているようだ
●さあ、春だからパステル画を
パステル画歴15年の吉田恵美子さん(大泉学園町在住・武蔵野美大卒)はもともと舞台美術が専門で現在は短大非常勤講師。地域の方々にも楽しんでもらいたいとパステル画教室を開いている。パステルは色がきれいで、指先を使ってのばしたりぼかしたりするのでとても豊かな気持ちになれるとか。舞台美術のセンスが光るセッティングの静物画や、風景画に挑みます。
〈パステル画の会〉
場 所:大泉地域集会所(大泉4丁目)
日 時:水曜日(月2回)13〜16時
(作品展) 5/29(月)〜6/2(金) 大泉郵便局ギャラリー(バス停北出張所前)
*問合先03‐3925‐7038(吉田)19〜21時
●ティータイムのお菓子
献上銘菓・「爾比久良」 都民農園バス停前に昨年移転オープンした大吾の代表的な和菓子。名は当地の古称「新倉郡」から。人気のほどは開店を待つ行列を見ればわかりますが、こしあんでくるんだ栗をさらに黄味羽二重で包んだ上品な甘さは茶通にも好まれています。断面の美を楽しみながら少しずつ切り分けていただくのがよろしいようです。売切れにあわないようお早めに。
1個390円。
〈大吾〉
営業時間:10時から19時 定休日 月曜日
電話:03-5947-3880 FAX 03-5947-3885
主な商品:爾比久良・三味最中・野火の里
*レストランサンロイヤル前に駐車場あり 4台駐車可