都県境にある都立大泉中央公園南側の道路沿いに〈動物注意〉というタヌキの黄色い看板(正確には警戒標識)が立っています。現在のは10年ほど前に設けられた2代目。近隣の住民から「タヌキが交通事故に遭ってはかわいそう」との声が寄せられ、練馬区が設置し直したのだそうです。今や名物看板に。でも果たしてこんな都会にタヌキが住んでいるのでしょうか。


私はタヌキを見ました
【目撃証言その1】
 
1年くらい前、理容よねちの壁にタヌキの写真が貼ってあった。お客さんが栄公民館の近くで撮ったらしい。 (新座市栄4丁目学生R君)
【目撃証言その2】
 
つい先だって自宅前の通りを車で走っていたら動物が。よく見ればタヌキでした。こんなところに?と思ったのですが考えてみれば林や畑も多いしお屋敷もあるし環境的には条件がそろっていますものね。タヌキが住める街ってメルヘンを感じます。 (練馬区大泉学園町6丁目主婦Iさん)
【目撃証言その3】
 夜9時ごろだったろうか。車で長久保へ向かう途中、ナカタヤさん近くで道路を横切るタヌキを見かけた。目を疑ったんだが、犬でも猫でもなく、少し丸っこかったから絶対タヌキに違いない。あれはきっと野生だね。私は以前大きなタヌキの置物を焼いたからタヌキだってわかったんだよ。 (栄5丁目陶芸家K氏)
【目撃証言その4】
 僕がヤマダ電機の近くを自転車で通りかかったとき立ち止まってこっちを見ている動物と目が合った。まさしくタヌキである。歩くたびにコツコツという音がした。そういえば近くにサツマイモ畑もあったしなあ。いても不思議はないよなあ。かわいかった。 (栄5丁目高校生S君)
【目撃証言その5】
 9月の話。かなり遅い時間だというけど、仕事帰りの友人が近所の老人クラブ農園(大泉学園町6丁目)でタヌキの親子と出くわしたそうだよ。しばらく見つめ合ってたって。動物好きなことがタヌキにもわかったんだろうね。別の日には彼のアパートの階段にも現れたと話していた。いるんだねえ、この辺に。 (コスモパック店主M氏)
【目撃証言その6】
 
女房と二人で見ているから間違いないとは思うけど、大泉学園町2丁目の善行院というお寺の近くで5年ほど前にタヌキを見かけた。今は開発されてしまったが、あのへんには竹やぶや雑木林が多かったからね。タヌキといえばうちの近くに野生のタヌキを捕まえて飼ってた人もいるよ。 (大泉学園町5丁目農業K氏)

タヌキはやっぱり住んでいる
 こんなに目撃証言があって、ほかにも、車にひかれて怪我をしたタヌキを助けた光が丘の獣医さんの話、学芸大附属付近の民家に毎晩現れるタヌキにえさをあげていた主婦の話など枚挙に暇がありません。
それに練馬区土木部の話では、宮崎アニメ「平成狸合戦ぽんぽこ」が話題になった当時、練馬区上石神井の石神井川でタヌキの巣が見つかり、マスコミが取材に来たりして大騒動になったとか。やっぱり都県境には今でもタヌキが住んでいたんですね。

タヌキという生きもの
 食肉目の獣。東南アジアの特産で、産地・草原に穴居。毛皮は種々の色相があり、普通は灰褐色、防寒用・鞴用とされ、毛は毛筆に使われる。雑食性。土地により、アナグマと混同してムジナと呼ばれることが多い。   (「広辞苑」より)
 古来、人間に最も近しい動物の一つとして共生関係にあったタヌキ。警戒心に乏しく、キツネや犬に比べて知能が低いとされますが、そのぶんおっとりしていて愛嬌もの。銃に驚いて失神するので「狸寝入り」という言葉が生まれたり、死んだかと思えば生きている…そんなことから人を化かすというイメージが作られていったようです。
 埼玉県のホンドタヌキはR2という希少種とされ、低地ではほとんど見られません。荒川以西、大宮台地の藪の中、屋敷森、湿地などにわずかに生息が認められている程度。
ですからこんなに都市化の激しい地域でタヌキを見かけるのは、とても貴重なことなのでしょうね。
 ※私もタヌキを見た…という方は当ホームページの伝言板までぜひお知らせを。

大泉と信楽焼のタヌキ
大泉学園駅北口の大泉街道沿いに数年前まであった「ほていや」さん。道路拡張で閉店することになったとき、店主夫妻の郷里が滋賀県信楽町であることを初めて知りまし知りました。閉店記念に渡された実家製造というタヌキの置物には縁起を書いた次の説明書が付いていました。
説明書より

  笠 
 :思はざる悪事災難避けるため 用心常に身を守る笠
  目  :何事も前後左右に気を配り 正しく見つむることな忘れめ
  顔  :世は広く互いに愛想よく暮し真を以って務めはげまん
  徳利 :恵まれし飲食のみにこと足りて 徳はひそかに我につけん
  通  :世渡りは先づ信用が第一ぞ 活動常に四通八達
  腹  :もの事は常に落つきさりながら 決断力の大胆をもて
  金袋 :金銭の宝は自由自在なる 運用をなせ運用をなせ
  尾  :なに事も終りは大きくしっかりと 身を立てること真の幸福
タヌキの体や持ち物にはそれぞれ意味があったのです。
さてこの教訓、あなたはどう生かしますか?

タヌキ郵便局
 徳島県の小松島市の特定郵便局「金長だぬき郵便局」。タヌキ王国の阿波伝説にちなむネーミングとはいえかなりインパクトあり。タヌキの絵入り記念葉書も販売しています。 рO8853-2-4291

新座栄郵便局のタヌキ
 入口の足元にちょこんと置かれた小さなタヌキ。松岡局長の話では昭和五十一年の開局以来ずっと郵便局にいる、いわば守り神のような存在。おそばやさんや酒屋さんならともかく郵便局にタヌキがいるのは珍しい?

看板ダヌキは陶遊房にも
 信楽焼とはずいぶん印象の違うビッグなタヌキがすまし顔で門前に。陶遊房オリジナルの焼物。工房にはなぜか剥製のタヌキもいます。見学可。  新座市栄5-3-31

合格タヌキ
 深大寺で見つけた縁起物のタヌキ。高さ約3センチ。タヌキは「他抜き」に通じるからとの語呂合わせがニクイ。笠に「合格」の文字。受験のお守りに。門前の深大寺窯で売っています。一体300円0424-83-7441

ぽん太の広場
 営団地下鉄有楽町駅構内に十体の信楽焼のタヌキが並ぶコーナーがあります。何かな?と思えば十二年前に設置された待ち合わせ場所でした。タヌキには長男「ぽん吉」二男「ぽん助」等の名前がついて家族構成となっています。お父さんが「ぽん太」。これまでに増員、失踪などタヌキ一家にもドラマがありました。「有楽町で会いましょう」というときにはこの「ぽん太の広場」で待ち合わせては?

タヌキの人形焼
 ユーモラスでかわいくて素朴なおいしさ…。わざわざ買いに行ってもきっと後悔しません。本所七不思議「おいてけ堀」「ばかばやし」などをモチーフにした山田家(JR錦糸町駅南口03-3634-5599)の人形焼。作家の宮部みゆきさんもファンの一人だとか。  1個80円

錦糸町へ行ったらリヴィン5階エレベーター前の木彫タヌキ(写真右)もお見逃しなく。

タヌキ民話のふるさとへ
〈狸ばやし〉
  木更津
♪しょ、しょ、しょじょじ〜と歌われる童謡「證城寺の狸ばやし」(野口雨情作詞・中山晋平作曲)の舞台は千葉県木更津市にある證誠寺。月夜の晩に和尚さんの三味線と張り合って腹鼓を打ちすぎ、お腹が破れてしまったタヌキの話は有名ですね。萩の咲き乱れる境内には狸塚や狸ばやし童謡碑が。また新座ゆかりの女優故河内桃子さんが寄贈したという本物のタヌキも飼われています。詳しくは駅前案内所の観光ボランティアの方に説明していただけます。
JR木更津駅から徒歩10分

〈ぶんぶく茶釜〉  館林
 群馬県館林市はいたるところにタヌキの像が立つタヌキ一色の街。昔、茂林寺の千人法会という千人にお茶を立てる茶会の折、和尚さんの前にもたらされた汲めども尽きない不思議な茶釜。それがタヌキの化身だった…という伝説から生まれたのが巌谷小波作の童話「分福茶釜」で、寺には今もその茶釜が残り一般公開されています(拝観300円)。
 境内両サイドには大きなタヌキ像がずらり並んで迎えてくれるし、参道の茶店にはタヌキグッズがいっぱい。館林銘菓「分福最中」や「麦落雁」もタヌキがらみ。ツツジの季節は特に賑わうそうです。東武伊勢崎線茂林寺駅から徒歩5分

お知らせ
<鑑賞の手引き> 
新座交響楽団の演奏による「シベリウス交響曲第2番ニ長調作品43」

新座交響楽団が、あまり知られていない作曲家シベリウスの交響曲を敢えて選んだのは、近い(?)将来、彼の祖国フィンランドでこの曲を演奏したいと思っているからです。(新座市はフィンランドの町ユバスキュラと友好姉妹都市提携を結んでいます)
クラリネットやオーボエなどの木管楽器が随所で美しくも悲しげなメロディーを何回も繰り返し演奏します。目を閉じてそのメロディーを口ずさんでいると、きっと夢の国に誘われてしまうでしょう。そして夢の中で「森と湖の国」が生んだサンタクロースやムーミンに会えるかもしれません。でも最後の4楽章で全楽器一体のフォルティッシモに間違いなく目を覚まされるはずです。 ※演奏会は2000年11月19日(日) 詳細はぶんか情報欄参照

<サークル>
フランス語 をご一緒に
お料理、旅行、文学などでフランス語の必要と興味を感じたことはありませんか。パリ出身で現在高校生にフランス語を教えている若手マドモアゼルのカリンヌ・ジョルジュさんを講師に迎え、美しい響きのフランス語をABCから学ぼうとしている仲間です。日本語が得意な彼女が、文法・発音の基礎からゆっくり丁寧に教えていきますので初心者の方でも安心です。かつて学んだけど忘れかけている…という方も基礎から反復練習してみませんか。ビデオを見ながらフランスの文化・習慣にも触れ、講師とともに語り合う楽しいひとときも。気軽なムードで始めましょう。 
  10月5日より毎月第1・3木曜日 18:50〜20:50 
  新座市大和田公民館 会費 月3500円(テキスト代別) 
  (048-477-5600 FAX048-477-7639(北川みなせ)
  ※留守の場合はお名前・電話番号を録音して下さい

<教室ガイド>   
工房「まどい」
東急ハンズや豊島区内で講師を務め、この世界では草分けともいえる竹田恭子さん。パンフラワーを振り出しにセラミカルアート、樹脂粘土、シルバークレイなどの資格を取り制作・指導しています。自宅アトリエの棚にはウエディングカップル、ピカチュウなどのキャラクター、ウサギをはじめ動物たちが勢ぞろい。お人柄が出るのかどれもほのぼのとした表情をしています。壁掛け・置物はすばらしい芸術品。目下の中心は、軽量でしかも焼かずに短時間で作れ、重厚さをも表現できる樹脂粘土工芸。体験教室ではかわいいタヌキさんなどいろいろな小物づくりにトライしましょう。        月1回全日コース3000円(このコースのみ昼食付)
  月2回半日コース3500円 *いずれも材料費別
  練馬区大泉学園町6-28-9 (03-3978-0797
  ※体験教室についてはぶんか情報欄参照

<ティータイムのお菓子>
「月」と名のつく 銘菓二題 
永遠に女性なる月、そして豊穣をもたらす満月…。この季節は月がひときわ美しく冴えわたるとき。そんなお月さまを仰ぎながら渋〜いお茶を淹れて味わいたい都民農園発の和菓子を二つご紹介。

〔夕月〕 月を象徴する黄味あんを、シナモンの香りがほんのりやさしい皮で包んだ焼菓子です。秋のイメージたっぷり。洋菓子風の和菓子で、渋茶はもちろん紅茶等にもよく合います。パッケージにも秋を感じる一品。爾比久良でおなじみの「大吾」で1個150円 03-5947-3880 月休
〔満月最中〕 店の名前がすでに「満月」なのですから店ごとお月見ヴァージョンですね。2階には満月茶家という甘味処まであるんです。満月最中は小倉あんとごまあんの2種。どちらも1個100円 03-3925-5176 火休