■特集 絵本の極意


 30年前「いわさきちひろ絵本美術館」として開館した「ちひろ美術館」があり、赤ちゃんが初めて出会う絵本『いないいないばあ』の作者松谷みよ子さんが住んでいる街…。絵本ワールドここにあり!といっても過言ではないでしょう。木枯らしの吹く冬は、おとなも子どももあったか〜いお部屋でぬくもりある絵本に触れてみてはいかがでしょうか。本特集では地元ならではの絵本の話題を集めてみました。なお、いわさきちひろさんについてはプチぶんか村2002年8号特集、松谷みよ子さんのエッセイは2004年10月号ぶんか村エッセイ28に掲載されています。本紙ホームページでご覧ください。

絵本充実の大泉図書館
藤沢周平コーナーがあることでも知られる練馬区の大泉図書館は、絵本の蔵書が実に1万3500冊。児童コーナーの中心には円形の書架があり、絵本がぎっしり並んでいます。内側は絨毯敷きで、幼児や子どもがペタンと座れる安全安心のスペース。すぐそばには初代館長が寄贈したという海外絵本の貴重なコレクション「浜中文庫」(約600冊)もあります。加えてボランティアグループが制作した布の絵本も多く、子どもたちにとってはうれしい図書館となっています。
大泉学園町2-21-17 TEL:03-3921-0991


布のえほんボランティアサークル「ひよこ」
 大泉図書館の『布のえほん』を手がけているのはボランティアサークル「ひよこ」。160冊もある布のえほんのほとんどはひよこのメンバーによるもので、手仕事好きな40代から80代までの二十数名が月2回第2・4水曜日10〜12時、図書館2階の視聴覚室に集まり、制作しています。1冊が出来上がるまで数ヶ月から1年以上。代表の加賀美裕子さんは、布のえほんの魅力について「やわらかく、あたたかく、ぬくもりがあるのが布のえほん。破れないし、修理や洗濯が可能。仕掛け絵本やのぞき絵本は、むすんで、解いて、はずして、くっつける…など読者が実際触れて体験することができ、絵本の原点とも言えますね。布のえほんはすべてが原画だから美しいのです」。ボランティア活動については「よい作品を作りたいという気持ちが自然に生涯学習につながります。コンサートや展覧会へ行ったりしてみな研究熱心。生活が豊かになり、人生を楽しんでいます。指先を使うから頭がよくなるし技術も磨ける。同じ目的のなかで協議するようになったことがすばらしいと思います」。作る楽しみが読み手に伝わるのが喜び…と、ひよこのみなさんは口々におっしゃいます。「修理で戻ってきたときになめたりかじったりした形跡があるとうれしくて」「子どもの目線になれる。自分が子どもになったみたい」「共同作業だから責任も感じます」。えほんが出来上がると写真を撮って保存。それは補修のため。パーツがなくなったり壊れたときに、この写真の出番となるわけ。「ここでは作り手、借り手、図書館と、三者のバランスがとてもいいんですよ」と加賀美さん。完成した作品はすべて図書館の所蔵となり、貸し出されます。3歳児から小学生の利用が多いなか、お父さんが借りていくことも。ビニールの手さげには「一冊一冊心を込めて作った本です。大切に扱ってください」との表示。大事にされているのがわかります。貸し出しは3週間以内で2点まで。ほかの図書館からリクエストすることも可能。「ひよこのボランティア活動に参加してみたいという方は見学自由です。お待ちしています」。

東京展
 加賀美さんは毎年秋に上野の東京都美術館で催される東京展の運営委員として「絵本の部屋」の代表も務めています。手作り絵本の歴史を刻んでいる東京展は全国規模の公募展。ひよこの有志も出展する、とても見ごたえのある展覧会です。会場にはユニークで楽しい絵本が勢ぞろい。時間をかけて鑑賞する客が多いのもこの絵本展の特徴でしょう。http://www.tokyoten.com/


大人のメルヘン
「幼稚園の先生は絵本作りが必修科目ですが、なぜか私はやらなかったので、子育てが一段落してから池袋のカルチャーセンターに通って絵本作りに挑んだんです」というのは新座市石神の斉藤静絵さん。講座で仕上げた絵本を東京展に出品するよう勧められたことから毎年制作し、8年目には東京展賞を受賞。母親の介護や幼稚園の先生の経験を生かし、これまで4冊を出版。やさしくもきりりとした作風が精彩を放っています。感動的なのはカブトムシのカブタじいさんとカマキリのキリ子ばあさんの心温まる物語『かんご夫カブタ』。喜寿のお祝いに市内のお年寄りに配られました。これからも絵本を作り続けたいという斉藤さん。

古書店の絵本〜ポラン書房〜
「一人でも多くの人が本に親しんでもらえる場になりたい」と店主。「特に子どものときの本との出会いはその後の人生を豊かにするのでしょう」。絵本は力を入れているジャンルのひとつで、古今東西の作品を取り揃えているのが自慢。お奨め絵本ベスト5は、『はじめてのおつかい』『アンジュール』『ちいさいおうち』『かいじゅうたちのいるところ』『ごきげんなライオン』。
東大泉1-35-12
03-5387-3555




<スポット>
貴島雄太朗さん、3年連続の快挙!!

 冬の風物詩、ミキモトジャンボクリスマスツリーが今年も銀座ミキモト本店に登場し、街ゆく人々の目を楽しませています。今年は、各種メディアや演劇・映画界でファッションデザイナーと異なる視点で独自のコスチュームをつくり続ける
コスチュームアーティストのひびのこづえさんとともに、ガラスの人形ディスプレイを制作。昨年、一昨年とはまた違ったメルヘンいっぱいの作品に仕上げました。12/25までの毎日夜10時まで点灯。夕暮れ時の5時頃がいちばんきれいですよ。(貴島)


<タウン>
小榑(こぐれ)最中、いかがです?  

献上品「爾比(にい)久(く)良(ら)」で知られる和菓子の大吾からこの秋新発売!細長くちょっと変わった形は、上品に食べられるように配慮したもの。小倉餡の丹波産大納言小豆は現地へ出向いて生産風景を確認したうえで使用しており、栗餡、胡麻餡とともに早くも人気が定着してきた。小榑とは大泉学園の昔の呼称「小榑村」から命名。地元のお菓子として親しまれるに違いない。1個180円、6個入1330円大泉学園町6-28-40 03-5947-3880 月曜・第4日曜定休 9:30〜19:00 P有


<志木発絵本>
『いろはカッピー黄金のきゅうり』
 
 カッピーとは志木市の本町通りにあるいろは商店会のイメージキャラクター。志木市には「かわしん(川口信用金庫)」前をはじめ市内各所に河童の像が点在し、それらをめぐる散策は実に楽しいのですが、散策前にぜひ読んでおきたいのがこの絵本。主人公の河童のカッピーが悪と戦いながらカワウソとともに黄金のきゅうりを探しに行く…という友情と冒険物語。絵本を出版したいろは商店会会長の清水良介さんは「柳瀬川や田子山富士などなじみの名所も出てくるので、この絵本から子どもたちの郷土愛が芽生えてくれれば」。清水商店(048-471-3211)ほか宮川書店などで1500円(税別)

<映画>
佐々木康 生誕100年上映会 プログラム

2008年2月2日(土)〜 8日(金)  東京池袋 新文芸坐(池袋駅より3分)
NP:ニュープリント(ニュープリント作品の大スクリーンでの上映は50年ぶり)
NP『新諸国物語 七つの誓い』3部作
    黒水仙の巻   中村錦之助、大川橋蔵、東千代之介、伏見扇太郎
    奴隷船の巻   中村錦之助、大川橋蔵、東千代之介
    凱旋歌の巻   中村錦之助、大川橋蔵、東千代之介、千原しのぶ
NP『曽我兄弟 富士の夜襲』
セミオールスター(中村錦之助、東千介、大川橋蔵、月形竜之介、 北大路欣也、片岡知恵蔵、高千穂ひづる)
NP『血斗水滸傳 怒涛の対決』 
    
オールスター(片岡知恵蔵、市川右太衛門、美空ひばり)
 『新撰組』
    セミオールスター(片岡知恵蔵、大友柳太朗、東千代之介 )
  『ふり袖侠艶録』
    美空ひばり、東千代之介、千原しのぶ
  『ひばり十八番 弁天小僧』
    美空ひばり、里見浩太郎、若山富三郎
 『旅笠道中』 
    大川橋蔵、千原しのぶ
 『おしどり囃子』
    大川橋蔵、美空ひばり
 『大江戸千両囃子』
    東千代之介、美空ひばり、大友柳太朗
           
他(4タイトル)問い合わせ先:048-477-1313メソン


  

■ぶんか村エッセイ(47)


『佐々木康生誕100年記念上映会』のニュープリント作業
  円尾敏郎(編集者・ビデオカメラマン)


<プロフィール>
まるお としろう  1961年福岡県久留米市生まれ。映画館の営業、映画の助監督、製作部、テレビ編集を経て、ビデオカメラマンに。撮影現場で出会った映画人にインタビューして本
にまとめている。
※記念上映会については特集面参照


 戦前に作られた映画の9割以上が失われている。映画のフィルムとネガが失われた原因の最大のものは、やはり、戦争。したがって、日本映画史と言っても、伝説を鵜呑みに出来ない。映画作品を楽しみながらきっちり確認した上での日本映画史は、昭和20年以降の日本映画の歴史である。ところが、その昭和20年以降の映画でさえ、倒産した映画会社の作品は、どこに行ったのかわからないのが現状だ。生き延びている映画会社の作品のなかにも、昭和20年代の作品のネガは化学反応を起こして、ポジフィルムを作れない状態であったりして、戦後公開された2万本弱の日本映画のうち、何本見ることができるのか把握している日本人はいない。戦後に関しては、戦争という言葉を使って言訳できない。芸能、芸術、文化を大事にしない体質に、ますます憤りを抱くようになった。来年(2008年)二月頭から、東京・池袋の新文芸坐で始まる「映画監督 佐々木康 生誕一〇〇年記念上映会」のために、新座に住む佐々木康監督の長男夫妻(佐々木真、佐々木康子)と共に、佐々木康監督が演出した百六十八本の映画のうち、後世に残すべき作品を何本か選んでニュープリントにしてもらう作業をしているときだ。これもダメ、あれもダメ。係の人もとまどっている。どうなっているんだろう。映画会社にとって、過去に作った映画は、財産じゃないのだろうか。文化遺産でもあるはずである。映画会社の課題を超えて、日本の文化行政の貧しさが露呈されている。国民の財産である。腐らしちゃだめじゃないかと、言いたい。


 
■ぶんか情報

新座市民会館
人権問題講演会「島田洋七氏による講演〜私が経験した天国と地獄 生きててよかった〜」12/15(土)入場無料(要整理券) 1300 048-477-1111

大泉学園ゆめりあホール
〒178-0063 練馬区東大泉1-29-1(大泉学園駅北口) 03-5947-2351 www.city.nerima.tokyo.jp/ 
練馬交響楽団アンサンブル 〜室内楽のたのしみ Vol.6 〜 12/16(日) \700 1400 ヴィヴァルディ「四季」 モーツァルト「フルート四重奏曲」 
「伝えたい・残したい練馬の風景」写真・絵画展1/14(月・祝)〜20(日)入場無料1030(初日1300)〜1800区民から募集した作品約60点

練馬文化センター
〒176-0001 練馬区練馬1-17-37(練馬駅北口) 03-3993-3311 www.city.nerima.tokyo.jp/
レニングラード国立バレエ『白鳥の湖』 1/18(金) \S12000A10000B8000 1830 170年余年の歴史と伝統を誇るクラシック・バレエ
練馬区独立60周年記念「イルミネーションコンテスト2007」表彰式12/20(木)入場無料(当日1600より入場券配布)1630〜1830

T・ジョイ大泉 シアター
〒178-0063 練馬区東大泉2-34-1(オズスタジオシティ4F) 03-5933-0141 www.t-joy.net/  
母べえ 1/26(土)よりロードショー これぞ「日本の母」 原作/野上照代 監督/山田洋次 出演/吉永小百合 浅野忠信 壇れい
歓喜の歌 2/2(土)よりロードショー 原作/立川志の輔(新作落語) 出演/小林薫 伊藤敦史 由紀さおり 浅田美代子 安田成美

和光市民文化センター サンアゼリア
〒351-0192和光市広沢 1-5(和光市駅徒歩15分) 048-468-7771 www.sunazalea.or.jp/
人権講演会 講師「あらしのよるに」著者 絵本・童話作家きむらゆういち氏 12/1(土)1330 048-464-1111(内2434)和光市教育委員会
姜建華 二胡コンサート〜二胡から広がる幻想の世界〜 12/13(木) \4500 1830 「ラストエンペラーのテーマ」「二泉映月」「地上の星」
親子W襲名記念「林家木久蔵改め初代林家木久扇・春風亭小朝・春風亭昇太 爆笑三人会」1/19(土)\S4500A4000 1800 ゲスト/林家木久蔵

その他のコンサート・展覧会・公開講座など       
堤陽子と「フエゴ」の仲間のステンドグラス展 〜12/12(水) 1000〜1800 J.CITYギャラリー(光が丘ホテルカデンツァ) 03-3997-1454
「名作誕生―巨匠たちのアトリエ」展〜12/16(日)\500 1000〜1800 奥田元宋 野見山暁治 田崎廣助ほか 練馬区立美術館 03-3577-1821 
足立惠一「和光市の移り変わり」今昔写真展〜12/26(水)入場無料1000〜1500 和光市総合福祉会館 ゆめあい和光まつり 048-452-7600
ムンク展 〜1/6(日)\1400 930〜1730 国立西洋美術館(上野) 月休 代表作108点を一堂に www.nmwa.go.jp/ 03-5777-8600
ちひろの構図―色・線・形 〜1/31(木) \800(入館料) 1000〜1700 ちひろ美術館東京 初山の影響を受けた作品の数々 03-3995-0612
初山滋大回顧展〜1/31(木)\800(入館料)1000〜1700 ちひろ美術館東京(上井草)絵本・絵雑誌・教科書等の原画と版画100点 03-3995-0612
パンフルート(大束晋)&ギター(町田文善) チャペルコンサート 12/8(土)\2500 1400女子パウロ修道院(乃木坂駅5分) 048-481-3952
埼玉病院公開講座「救命に必要な応急手当の一方法」12/13(木)1400 ・「更年期の症状とケアについて」1/10(木)ゆめあい和光 048-462-1101
宝くじ文化公演 ビゼー作曲オペラ「カルメン」全4幕日本語公演12/15(土)\2000 1830志木市民会館パルシティ(本町1・11・50) 048-474-3030
クリスマスファミリーコンサート「音楽のおくりもの」12/16(日)\2000(3歳〜中学生\1000)1100・1400光が丘IMAホール 乳幼児同伴大歓迎! 03-3976-2000
クリスマス公演「銀河鉄道の夜」12/23(日)〜26(水) \4000(当日4500) 1400(23日1900 26日1700) ブレヒトの芝居小屋 03-3920-5232
ニュー・ヴィジョン・サイタマV7つの眼×7つの作法12/26(水)〜1/27(日)\800 1000〜1730埼玉県立近代美術館月休 048-824-0111
三島康男 特別写真展「日本の海風景」1/10(木)〜31(木)入場無料 1100〜1700 ギャラリー"無"(新座市栗原公民館近く) 0424-76-1948 
ウィンナー・ワルツとニューイヤー名曲セレクション1/11(金)\4000 1830志木市民会館パルシティ(本町1・11・50)サンクトペテルブルク弦楽合奏団 048-474-3030
講演会「政治とマスコミー裏のウラを読む」1/13(日)1400 東北コミセン(新座市東北2・28・5) 講師/ジャーナリスト大谷昭宏氏 048-481-5442
「出前歌声」500人の大うたごえ喫茶1/20(日)\2000(前売)1300・1600光が丘IMAホール 新宿歌声喫茶「ともしび」の再来 03-3976-2000
第20回平泉展1/23(水)〜2/4(月)1000〜1800 国立新美術館1階1A室(大江戸線六本木駅7出口)地元から多数出展 03-3923-3880渡邊
〜あなたが主役〜 ピアノゆめリサイタル1/27(日)1300 朝霞市民会館ゆめぱれす ホールで演奏・ピアニスト体験 048-466-2525
佐々木康生誕100年上映会 2/2(土)〜2/8(金) 池袋・新文芸坐 懐かしい映画の上映 ※本文参照。次号にも情報掲載 048-477-1313

編集メモ
 いわさきちひろさんのアンデルセン童話集で育った私。子どもたちは松谷さんの『いないいないばあ』が大好きだった。作者を身近に感じることができるのは幸せだ。

プチぶんか村設置箇所
・大吾        ・曽我歯科医院   ・堀田ピアノ教室
・藍学舎       ・梅の大谷     ・コスモパック
・カフェラベル    ・ナカタヤ     ・みゆずメソン
・青樹舎硝子工房   ・サンレモン    ・夫佐子はな
・法台寺       ・くりけ      ・満月
・ひまわり美容室   ・クレセント    ・フエゴ
・新座交響楽団    ・工房まどい    ・レストランテさかい
・オリエントハローズコーヒー   ・あわ家惣兵衛   ・国立埼玉病院
・青山フラワー    ・片山農産物直売所 ・ルジャンボン
・ローレライ     ・スペース陶     ・豊月堂
・松崎医院      ・だいこんブラス  ・乃田
・田中屋酒店     ・テディベアテラス ・アロマセラピールーム林泉
・石崎英数教室    ・新座いい音楽にふれる会
・ニューアマンド   ・クロシェットドゥボワ   ・近藤食品
・うさぎの輪     ・きもの処つるや  ・だちょう牧場並木屋
・草の実文庫     ・大泉学園薬局   ・藤澤皮膚科
・アマービレ     ・酒のおぎはら   ・ポラン書房
・フォーシーズンズナチュラルフィールド          ・ルボンボンマルシェ
・りゅうの会     ・イズミアート   ・ASA大泉学園
・花追い人      ・クリアライフ   ・ダイニングギャラリふう
・ごはん亭      ・FUURO
☆練馬区・新座・志木・和光・朝霞市公共施設(図書館公民館等)


制作協力スタッフ
  北口雄輝 丸木ますみ 岩下曜子 土井久代 杉山英明 早川緋紗 宇杉


 
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