■特集 


 NHKの大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」が佳境に入ってきました。この話、実は当エリアと浅からぬ因縁があり、編集部は今そのことについて語らねばならないと考えました。知ればドラマをぐんと身近に感じ、違った角度から歴史を楽しむことができるかもしれません。 

「江」は嫉妬深かった
 上野樹里さん演ずる江はお世継ぎを産むために相当苦戦していますね。ところで、二代将軍徳川秀忠夫人「江」という女性は実に嫉妬深い人物であった、という説があります。本紙では、江のことを「お江与の方」と表記し、2007年8・9月号特集「この街の風林火山」のなかで登場させました。まずはバックナンバーをご覧ください。

江に嫉妬された「静」
 江は秀忠よりかなり年上ですから焼きもちを焼くのも致し方ありません。秀忠に側室をもつことを許しませんでした。そんななか秀忠が心ひかれたのが北条家の家臣神尾伊予の娘 静(志津)。静は秀忠の寵愛を受け身ごもりますが、江に知れたら何をしでかすかわからない。そこで静は義兄の下で隠れるように男児を出産。この男の子こそのちに会津初代藩主となる保科正之、幼名幸松(こうまつ)です。家光の異母弟で秀忠の四男に当たります。その彼を7歳まで養育したのが、新座市平林寺に供養塔(写真左)のある見性院。彼女は「武田信玄二女」として知られています。
 見性院は、信玄の家臣穴山信君(梅雪)の正室で、夫の死後徳川家の庇護を受けて江戸城内にある比丘尼(びくに)屋敷に住まい、そこに幸松親子を引き取ったのでした。後年に伝わる保科正之の業績や言行録を見るにつけ、見性院がいかに幸松に愛情を注ぎ、成長を見守り続けたかを感じとることができます。見性院は優れた教育者であったのです。

見性院の人柄
 新座に供養塔がある見性院の、本当の墓はさいたま市緑区東浦和の清泰寺にあります。同寺は、葵の御紋を施した門扉のある立派な墓(県文化財)をはじめ、見性院の面差しに似た阿弥陀如来坐像、会津松平から寄進された三具足等工芸品を有し、今でも毎年母の日には会津藩主松平氏の末裔を迎え見性院ゆかりの人々により供養が行われています。今もって慕う人々がいることからも彼女の人となりが浮かび上がってきます。





野火止用水は
 保科正之の決断の下に開削されたといわれます。野火止用水が取水する玉川上水は玉川兄弟が作ったものとされがちですが、裏話として玉川上水奉行伊奈忠治が玉川兄弟を現場監督として開削した工事は失敗。それに代わって保科正之がゴーサインを出し松平信綱が挑んだ工事により成功した…。現場監督は安松金右衛門。その功により玉川上水の三分の一を川越藩領である土地に野火止用水として引く権利を得たのです。
つまり、野火止用水が今日あるのは元をたどれば保科正之を養育した見性院のおかげであり、着工に携わった松平信綱、安松金右衛門の功績であるわけです。この3人の墓が平林寺境内に存在しているのは、不思議なご縁というほかはありません。

松平信綱と保科正之
二人は似ているところがある、と作家中村彰彦氏。臨終に際し信綱は、家光・家綱から受けた文書をすべて焼き捨てよと命じた、つまり自己の足跡を消し、要らぬ情報流出を防いだわけ。そのことに感服した正之は信綱にならった…。武士の美学を共有する二人であると中村氏は書いています。

秀忠、サクラソウを愛す
荒川にかかる秋ヶ瀬橋一帯は、サクラソウ自生地として国の特別天然記念物に指定されています。サクラソウは江戸時代、お鷹狩りで荒川沿いを訪れた秀忠がその美しさに感激し、栽培を奨励したとされる花。サクラソウを秀忠と結びつけてみるとおもしろいですね。向井理さんはサクラソウが好きかしら?

秀忠と江が眠るのは
芝の増上寺。通常非公開の墓所を、来年1月31日まで特別公開中。拝観500円
大江戸線大門駅から5分
03-3432-143



「江」に出演します
 昨夏特集を組んだ里神楽。その里神楽を伝承する新座市の石山裕雅さんが、NHK大河ドラマ「江」に出演することになりました。
★第38回(10月2日放送)
秀吉七回忌の京、豊臣家の繁栄を祝う町衆の中にいます。
★第44回(11月13日放送)
竹千代、おふく大阪落城を祝う江戸城広間に江が憤慨して入ってくる…というシーン。
どちらも笛を吹いています。

  
江は外国人にも人気です

<個展>
夫佐子はな「アリガトウ展」+plus 10/19〜24

 桜・柊・松・椿・梅…木へんの花を布で表しました。大泉学園町の斉藤夫佐子さんの昨年に続く個展です。集まってきた布たちからどんな作品が生まれるのかが見どころ。ネクタイで作ったぶどう、レースの端切れのブローチ、大切な思い出の詰まった布をワイヤーに巻いて形成した花々。自由自在に花を作ることにより、いろんな表情が出せたと思う…と夫佐子さん。今回の基調は彼女に
しては珍しい「赤」。ただの赤ではありません。クリスマスからお正月、さらには桜の季節までと、会場内を季節が駆けめぐります。いっぱいの感謝をこめて…。 表参道ヒルズ 情報欄参照

<新座>
草の実文庫 〜親子・地域の方々の集い〜

モーツァルト「魔笛」知ってますか?
有名なオペラ「魔笛」を、絵本と歌、フルートやピアノ、ティンパニーで楽しみます。ヨーロッパの子どもたちにとって「魔笛」はオペラ入門、演奏会デビューの作品!メルヘンティックでありながら、実は〈愛と真実探求の物語〉である…その良さがわかっていただけるでしょうか?文庫オリジナル台本で出演者一同がんばってます!モーツァルトカフェも開店!文庫の子どもたちの詩や絵日記の発表もあります!入場無料ですが、会場に募金箱を設け、災害で家族を亡くした子どもたちに文庫の子どもたちの作品と共に送ります。11/13(日)  13:30〜15:30 片山小学校多目的室(バス停からすぐ)
048-481-5292小牧

<石神井>
0から始めるやさしい謡曲と仕舞講座

観世流能楽師 遠藤喜久氏(前号エッセイ参照)を迎え、月2回楽しく仕舞を稽古している「練馬能楽謡曲仕舞之会」が、能楽をわかりやすく解説し、謡曲が体験できる「初心者でも安心」の講座を開催。能楽は難しそう、敷居が高いと思っている人、興味がありながらきっかけがつかめなかった人には伝統文化に触れる絶好のチャンス!! 10/11・25 11/15・22 13:15〜14:15  石神井公園区民交流センタ−等 講師 遠藤喜久 各1500円
要予約 03-3922-3720(能見) 情報欄参照

<本>
『よみがえれ フー太郎の森』

エッセイの新妻香織さんがふくろうの子フー太郎と出会い、旅し、アフリカの実情を知り、木を植える運動が始まった経緯を軽快な筆致と写真で綴る一冊。東京新聞出版局 \1524+税




<和光>
「これからの食糧・農業・経済」11/20

 市民主体の情報発信と地域発の文化創出を目指す市民活動団体「和光出版・メディアの会」が主催する秋のフォーラムは、すべての世代に贈る企画。福島原発事故を受けて今後の食生活への不安が広がる今、講演、ドキュメンタリー映画、多角的な視点からのディスカッションをもとに、一緒に希望を探そうというもの。「実り」がテーマの市民芸術展、和光の食材を使った昼食会も同時開催。9:10〜16:10
和光市中央公民館(中央1-7-27)  保育有
2000円(昼食付)  048-202-1756(佐藤)     

基調講演の安田節子氏(「食政策センタービジョン21」主宰)→

<本>
『までいの力』

 スローライフを掲げる福島県飯舘村が原発発事故で一転。この写真集を購入すると飯飯舘村の復興支援となります。一読を!



  

■ぶんか村エッセイ(44)

被災地にお遍路さんを呼び込もう
新妻香織(NPOフー太郎の森基金理事長)

<プロフィール>
にいつま かおり 日本女子大国文学科卒業後、JTB出版事業局で「旅」「るるぶ情報版 」の編集に携わる。90年ケニアに移住し、ライターとして活動する傍ら英系旅行代理店UTCナイロビのジャパンデスク代表。5年間でアフリカ縦断、横断など28カ国を旅し、95年帰国。98年アフリカ緑化と水資源開発「フー太郎の森基金」を創設、代表(10年外務大臣賞受賞)。2000年に松川浦の環境保護団体「はぜっ子倶楽部」創設、代表。05〜08年市民と共に作り上げた松川浦の総合雑誌「まるごと松川浦」の編集長。震災後は自らも被災者であるが、様々な被災者支援活動,調査なども行っている。著書多数 http://futaro.org

 3月11日の震災は東北を大きく変えました。恐らく地震と津波だけなら、福島はすでに歩み出していたでしょう。しかし、今私たちは考えられうる最悪のシナリオを生きているのです。
それでも「決して絶望しない」私はそう決めました。「震災が新しい何かのためのターニングポイントだった」、あるいは、「震災を機に町が生まれ変わった」、そう未来を生きる世代が語ってくれるよう、私は働く務めがあると思ってます。
 さて、雇用は被災地にとって最大の課題です。私の地元福島県相馬市では、県立自然公園の中に競艇場を誘致しようという話も浮上しています。「NO!」というのは簡単ですが、代案を出さなければ人々が飢えてしまいます。それで思いついたのが「震災巡礼88カ所札所」でした。
 東北の津波の被災地は、観光地として劣化してしまいました。しかしここに札所を定め、お遍路さんを呼ぶことができれば、やがてお土産物屋ができ、食堂が始まり、宿が再開し、被災地の雇用につながります。第一既存の寺などを巡るので、新たな観光開発が要りません。津波の記憶を風化させないためにも役立つでしょう。幸い、環境省が松川浦を起点に八戸の蕪島まで東北の海岸線350キロをつなぐ自然遊歩道計画を上げており、リンクすればお互いのメリットになりそうです。
 そして私の秘かな願いは、88カ所とは別に、原発30キロ圏内に12カ所の札所を選ぶこと。彼の地が解放された暁に「100カ所結願」になればいい。


 
■ぶんか情報

大泉学園ゆめりあホール・ギャラリー
〒178-0063 練馬区東大泉1-29-1(大泉学園駅北口)03-5947-2351 www.city.nerima.tokyo.jp/
藤沢周平作品を読む-朗読:俳優篠田三郎氏- 11/13(日)\500 1400「約束」(「橋ものがたり」より) 往復ハガキで申込(練馬文化振興協会朗読係宛)
ダヌーツ・マーニャ"本場の望郷のバラード" 11/17(木) \2000 1900 ルーマニアのヴァイオリニストによる名曲集 045-788-8782

練馬文化センター
〒176-0001 練馬区練馬1-17-37(練馬駅北口) 03-3993-3311 www.city.nerima.tokyo.jp/
田中優&小室等「原発」のない明日へ
〜子どもと地球の未来のために〜
11/2(水) \1000 1845 小室氏は練馬区在住 03-5933-0108
練馬交響楽団第54回定期演奏会11/27(日)\1000 1400シベリウス「第2番」「交響詩フィンランディア」エルガー「エニグマ変奏曲」

T・ジョイ大泉 シアター
〒178-0063 練馬区東大泉2-34-1(オズスタジオシティ4F) 03-5933-0141 www.t-joy.net  
天国からのエール 10/1(土)〜 沖縄「あじさい音楽村」創設者仲宗根陽氏半生の映画化 感動作 出演/阿部寛 ミムラ 桜庭みなみ
はやぶさ 10/1(土)〜 7年間、60億キロ―小惑星探査機「はやぶさ」帰還までの真実のドラマ 出演/竹内結子 西田敏行 高島政宏
ツレがうつになりまして。10/8(土)〜人生の危機!?篤姫コンビによる「ツレうつ」夫婦像 監督/佐々部清 出演/宮アあおい 堺雅人

和光市民文化センター サンアゼリア
〒351-0192和光市広沢 1-5(和光市駅徒歩15分) 048-468-7771 www.sunazalea.or.jp
ウィーンの森バーデン市劇場
G.ビゼー作曲オペラ「カルメン」アリア特別公演
10/8(土)\5000 1600「ハバネラ」「闘牛士の歌」ほか
シネサロン・和光 東日本大震災復興支援上映会 「オカンの嫁入り」 10/14(金) \800(当日1000) 1030・1400・1900 048-465-0331
長谷見誠(フルート)堀米綾(ハープ)デュオコンサート11/6(日)\2500 1500「カノンニ長調」「ハバネラの主題による小品」「魅惑の夜明け」
和光市民オーケストラ第19回定期演奏会11/27(日)\500 1400「死せる王女のためのパヴァーヌ」バレエ「コッペリア」より「シベリウス第1番」

その他のコンサート・展覧会・公開講座など    
●「跡見花蹊の人と芸術」立志編 〜11/5(土) 入館無料 930〜1630 跡見花蹊記念資料館(新座市中野1・9・6)日・祝休 048-478-0130
江戸時代の百科事始―本草学者小野蘭山の世界― 〜11/6(日) 900〜1800 石神井公園ふるさと文化館ギャラリー 03-3996-4060
「道の会」病院展 10月テーマ『フェスティバル』11月テーマ『天体』
国立埼玉病院(和光市) 押し花・絵画・織物・写真 090-6034-3845
第20回成増童謡まつり10/8(土)1230 成増アクトホール(成増駅北口)和光市が誇る童謡詩人清水かつらの歌を中心に 03-5998-6881
松岡映丘―日本の雅― 10/9(日)〜11/23(水・祝) \500 1000〜1800 練馬区立美術館 月休 やまと絵復興のトップランナー 03-3577-1821
0から始めるやさしい謡曲と仕舞講座10/11・25,11/15・22(火)各回\1500(要予約) 1315石神井公園区民交流センタ?等 03-3922-3720
講演「自然の力・人の命」(相馬市長立谷秀清)「困難な時代をどう生きるか」(鎌田實)10/18(火)\2000 1800よみうりホール(有楽町) 03-3821-2581
『四季の彩り展』写真展10/18(火)〜23(日)900(初日1200)〜1630板橋区立赤塚植物園(成増駅北口からバス下車後5分) 070-5564-4769
夫佐子はな「アリガトウ展」+plus 10/19(水)〜24(月)1130〜1800(最終日1700) ギャラリーKOWA(神宮前4・12・10表参道ヒルズ1F) 090-7903-1525
HARUMI DOLLS展〜アクアものがたり10/20(木)〜22(土)1200〜1600 アトリエOh(千早2・2・8千早郵便局隣 椎名町8分要町7分) 090-1696-3426
ちひろの白10/26(水)〜1/29(日)\800(入館料)1000〜1700ちひろ美術館(下石神井)月休 谷川俊太郎と絵本の仲間たち展 03-3995-0612
あさかシネマ「おまえうまそうだな」10/29(土) \1000(親子券1300) 1030・1400 ゆめぱれす(朝霞市民会館)原作/宮西達也 048-466-2525
第33回亀っ子倶楽部写真展 花詩綴り「はなうたつづり」11/1(火)〜13(日)930〜1630神代植物公園 7日休園 080-3006-3088
国立埼玉病院看護公開講座「冬に多い子どもの病気?家庭でできる子どものケア〜 11/10(木) 1400 ゆめあい和光 048-462-1101
薔薇と月夜を愛した画家 アンリ・ル・シダネル展11/12(土)〜2/5(日)\1100 1000〜1730埼玉県立近代美術館 月休 048-824-0111
草の実文庫〜親子・OB・地域の方々の集い〜 11/13(日) 入場無料1330片山小学校多目的室 モーツアルトの歌絵本「魔笛」より 048-481-5292
フォーラム「これからの食糧・農業・経済」11/20(日)\2000 940〜1610和光市中央公民館(中央1・7・27和光市駅10分)保育有 048-202-1756
鏡五郎45周年記念コンサート11/20(日) \5000 1230 志木市民会館パルシティ(本町1・11・50)友情出演歌手多数 048-474-3030
東京演劇アンサンブル「銀河鉄道の夜」12/21(水)〜25(日)\4500(前売4000) 時間要問合ブレヒトの芝居小屋(関町北4-35-17) 03-3920-5232

編集メモ
 東日本大震災で被災した知人が上京、惨状について直接聞く機会がありました。想像を絶することばかりです。この災害を風化させることなく、紙面でも取り上げ続けていきたいと思っています。

プチぶんか村設置箇所
・大吾        ・曽我歯科医院   ・堀田ピアノ教室
・梅の大谷・たまてばこ ・ナカタヤ     ・みゆずメソン
・青樹舎硝子工房   ・夫佐子はな    ・法台寺
・くりけ       ・満月       ・ひまわり美容室
・クレセント     ・フエゴ      ・新座交響楽団
・工房まどい     ・さかい      ・オリエントハローズコーヒー
・あわ家惣兵衛    ・国立埼玉病院   ・青山フラワー
・片山農産物直売所  ・ルジャンボン   ・スペース陶
・松崎医院      ・だいこんブラス  ・切り絵&手打そば野田
・田中屋酒店     ・石崎英数教室   ・ニューアマンド
・クロシェットドゥボワ・近藤食品     ・うさぎの輪
・きもの処つるや   ・だちょう牧場並木屋・草の実文庫
・酒のおぎはら    ・ポラン書房    ・ルボンボンマルシェ
・りゅうの会     ・イズミアート   ・ギャラリー北鎌倉物語
・クリアライフ    ・うどん亭     ・FUURO
・抹茶そば陣屋    ・フェルナンブーコ ・新座三曲会
・写団四季彩     ・花と美登利    ・こぐれ村
・目白大学      ・花蹊記念資料館  ・紫織屋
・シネサロン和光   ・和光文化をはぐくむ会
・工房上弦の月    ・武蔵野楽器    ・スペースM    
・こみゅにてぃかふぇ和・紗耶加人形    ・石神井ファーマーズセンター
・和光出版メディアの会・新倉ふるさと民家園・石神井ふるさと文化館
・シオン       ・呉服かたやま   ・ゆきこ結気膳の会
・桃美会 ☆練馬・朝霞・志木・新座・和光の各公共施設

制作協力スタッフ
  北口雄輝 丸木ますみ 岩下曜子 土井久代 杉山英明 早川緋紗 宇杉


 
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