■特集 特集 妙音沢(みょうおんざわ)


 夏は水辺に限ります。今注目されているのが新座の妙音沢。水量の多さ、新種の桜の話題、遊歩道の整備…と期待のスポットです。


特別緑地保全地区
 新座市東部、都県境からも近い市場坂橋の脇にこんもりとした森のように見える、黒目川沿いの急斜面が妙音沢。大沢、小沢の2つの沢から絶え間なくコンコンと水が湧き、ものすごい水量となってゴウゴウ音を立てながら黒目川に流れ落ちます。湧水量は両方合わせて毎分1t超。水温は年間を通して15℃前後、夏でもひんやりです。この自然環境を保護しようと地域住民、専門家、行政が知恵を絞り、遊歩道を設けるなどの整備がすすみ、妙音沢クリーンアップ作戦や巡視活動、植生調査等によりこの景観が保たれています。
名水 武蔵野の湧水環境省が2008年全国の優れた湧水・河川(用水)・地下水等を100カ所選んだのが「平成の名水百選」。東京都では東久留米市の「落合川と南沢湧水群」ただ1か所、埼玉県内では、元荒川ムサシトミヨ生息地(熊谷市)、武甲山伏流水(秩父市)、毘沙門水(小鹿野町)とここ妙音沢の4か所が選ばれました。


滝、茶屋…妙音沢今昔
 新座市史に収められた妙音沢古地図「片山村大瀧之略図」を見ると、昔の妙音沢には滝が流れ、修験者の修行の場であったことが窺えます。参道や滝見茶屋も見てとれます。「昭和20〜30年代頃までは石仏・石碑が散在し、ワサビ栽培やニジマスの養殖も行われていた」と語る古老も。斜面の崩落などにより貴重な生物や珍しい山野草も減少するなど時代とともに生態系は変化してきています。しかし、いまでも妙音沢に足を踏み入れれば周囲の喧噪はすっかりかき消え、涼しげなせせらぎの音が聞かれます。その音は琵琶の音色に似ているとも…。

妙音沢伝説
 むかし十二天村(現新座市中央公民館あたり)に盲人で最高位の検校にまで上りつめた琵琶の名手がいました。幼少時から琵琶も勉学もよくし、信仰心厚かった彼は、近所の法台寺観智国師を崇敬。ある夜、夢枕に妙齢な女性が現れ「明日市場坂下の沢で琵琶の弾き方を教えます」という。不思議に思いながら翌日指定の場所へ赴き、女性を待つ間にまどろんでしまう。やがてその女性が「日頃から信仰心が厚く感心である。褒美に琵琶の秘曲を教えましょう」と琵琶を奏で始めました。その音色といったらこの世のものとは思えぬほど。ハッと眠りから覚めるとその姿はなく、桜の木に弁財天のお姿(軸)がかかっているばかり。それを大事に持ち帰って拝み、研鑽を積んだところ琵琶の腕は見る間に上達。後に検校が奉納したというその掛軸が、今も法台寺に保存されています。(写真下・非公開)


法台寺
 鎌倉時代からの時宗の名刹。開祖は一遍上人。中興開山は他阿真教上人、観智国師(芝増上寺)の二祖。現在は浄土宗。板碑はじめ文化財の宝庫であり、古くから片山文化の中心。境内七福神像の上部に妙音沢伝説にちなむ琵琶を奏でる弁財天像があります(拝観可)。


ミョウオンサワハタザクラ
 今春新種の桜の発見で湧いた妙音沢。花びら中に雄しべが変形した旗弁(きべん)が最大で5枚。花びらが二重に見える美しい桜です。調査に尽力した市内在住の樹木コンサルタント大山正数さんは「普通の桜より花が大きく、垂直に伸びる旗弁がことのほか美しい」。同じハタザクラとはいえ志木の長勝院ハタザクラとは品種を異にし、新座特有の桜として保護されています。

妙音沢の歩き方
 西武池袋線は大泉学園駅から新座栄行バス利用が最も便利。東武東上線朝霞駅からも本数は少ないが新座栄行が出ている。ひばりが丘、朝霞台からのアプローチも考えられる。バス時刻を確認してから出かけよう。
 バス停「新座栄」を起点として妙音沢を堪能したあとは周辺の見どころへ。健脚ならだちょう牧場や弁財天ゆかりの法台寺まで足を伸ばしたいところ。帰路は四方にバス便のあるバス停「片山小学校」から。
 サイクリングも楽しい。周りに駐車場がないので車での見学は不向き。路面が湿っていることが多く履物に気配りが必要。また夏は虫刺されにもご用心。木道は車椅子対応。妙音沢の湧水は飲用不可だが、各公民館の自動販売機では新座の水「森透水(しんとうすい)」が売られている。


<話題>
コーヒー店のピアノ秘話
 
大泉学園町風致地区にあるコーヒー専門店オリエントハローズコーヒーに珍しいピアノが導入されました。家具調グランドピアノ「スタンウェイ系ボス」。これは『今日の日はさようなら』の作詞・作曲者金子詔一氏がオーナーの猪俣勝さんに贈ったもの。二人は大学理学部の同級生。『今日の日…』は猪俣さんをイメージして作られた歌ともいわれ、同店の「うたごえカフェ」が地域に根ざしていることを知った金子氏の応援プレゼント。5月と7月にピアノを用いたコン
サートが開かれ、大勢の客が音色に聴きほれました (次回は10月)。ピアノを見学させて…という人も後を絶たないそうです。03-3867-1889

<新発売>
「里神楽」のケーキはいかが?

 里芋焼酎「里神楽」発売から2年、新座野火止に江戸期から伝わる伝統芸能「武州里神楽」をモチーフにしたお菓子が誕生、まもなく新座畑中の「パティスリー リアント」より発売されます。新座特産の人参をベースにシナモンの薫り漂う「リューブリトルテ」というスイス仕立てのケーキです。将来的には石山農園産の人参を使うこと、包装デザイン・栞などが決まり、新座発信ブランドとして大いに期待されています。去る7月自由学園明日館で行われたライヴ「和魂」にて先行披露。一般販売は8月10日から。「里神楽とともに末永く愛好されますように」と十世家元石山裕雅さん。 
〔パティスリー リアント〕畑中1・11・51
048-482-6122 火・第2水休 10:00〜19:001個190円

<歌声>
新座に「ともしび」がやってくる! 8/19

こんにちは!新宿の歌声喫茶「ともしび」です。1954年に誕生した「ともしび」は今年60周年を迎えました。おかげさまで連日多くのお客様でにぎわっています。お友達同士で、ご夫婦で、または親子3世代で来店される方、青春時代に歌声喫茶で歌っていたよという方…お一人でみえるお客様もたくさんいらっしゃいます。さて60周年の今年、ともしびは首都圏各地で出前歌声喫茶を開催、初めて新座市にも伺います。店の雰囲気そのままに、皆さんのリクエストでご一緒に思い切り歌います。おでかけください。 9:50ふるさと新座館 ※情報欄参照
※本紙を見たと申込んだ全員に「ともしび新宿店」優待券500円分(金券として使用可)をプレゼント!03-6907-3801

<近況>
講談師の神田香織さんから

 読者の皆様、いわき市出身の神田香織です。4月に『3.11後を生き抜く力声を持て』を出版しました。高座でのマクラ(前振り)とも言えるプロローグをちょっと紹介しますね。「末代まで悲劇をもたらす放射能被害、それを隠すのが目的?の『特定秘密法案』強行成立、これからは命がけで智慧を使わなければ生き抜けない時代。生き延びるためには、お金、地位ではなく、身ぐるみはがされても誰も奪えない貴方だけの心からの声、生存をかけた声、孫やこどものための声、お腹の底から出す力声」とまずタイトルの由来を紹介。…首相が嘘をつきまくり講釈師が本当のことを伝えるってなんか変ですよね !  3.11からの全国行者の活動日記ぜひご覧あれ。末巻の発声テキストで貴方も力声を獲得できます。  インパクト出版会刊 1994円 03-3818-7576


  

■ぶんか村エッセイ(87)

文化継続の一つの試み
縄田一男(文芸評論家 大衆文学研究会会長)

<プロフィール>
なわた かずお 
1958年 東京生まれ。 『時代小説の読みどころ』で中村星湖文学賞を、『捕物帳の系譜』で大衆文学研究賞を受賞。その他の著書に『武蔵』『日経時代小説時評』等。
大泉学園町在住

 またぞろ、あちこちで原発再稼働の動きが顕著になりはじめた。賛成派の人たちは、「やはり、経済が活性化してくれないと」というが、自分の故郷が福島のようになったらそういっていられるのだろうか。
私は年二回、福島へ行っている。新白河が故郷の中山義秀を顕彰した、わが国でも数少ない歴史・時代小説専門の文学賞、中山義秀文学賞の選考と授賞式へ出席するためである。
多くの文学賞が密室の中で行われているのに対し、この賞は、公開選考というかたちを取り、地元の文学愛好家、候補作の担当編集者、下読みの人たちを前にして徹底したフェアプレイで行われる。
その福島、新白河を東日本大震災と福島原発のメルトダウンが襲った。もはや、今年の授賞は無理だろう、と誰もが思った。
しかしながら、事務局から、こんなときだからこそ、文学賞は行います、という力強い決意の手紙が届いた。
私など想像もつかない深い哀しみと絶望、そして憤りの中、福島は、決して文化の灯とその継続を絶やすことなく、それは休むことなく今年も続けられている。現状の復興が完全に成されるまで一体何年かかるのだろうか。
が、彼らは、歩みを止めない。そんな彼らになにもしてあげることのできない私は、自分の無力を恥じるばかりである。一方で、福島の文化の継続の一端を担うことを誇りに思いつつ――。


 
■ぶんか情報

大泉学園ゆめりあホール・ギャラリー
〒178-0063 練馬区東大泉1-29-1(大泉学園駅北口)03-5947-2351 http://www.city.nerima.tokyo.jp/ 
●童謡こんめえ馬の詩人柳沢竜郎と音楽8/12(火) \2500(当日3000) 1900 「こんめえ馬」「星めぐりの歌」「キクとイサム」 080-5405-6781
●第29回桃美会南画展 9/17(水)〜20(土)入場無料 1000〜1700(最終日1500)鶴岡桃華氏(練馬区)一門 お題「ふぐ」 03-3948-0530
●新垣隆(作曲・ピアノ)と佐々木真(フルート)の音楽箱9/26(木)\3000 1900 即席主題による新垣隆の即興演奏等 9/30追加公演有 048-477-1313

練馬文化センター(ホール・ギャラリー)
〒176-0001 練馬区練馬1-17-37(練馬駅北口)03-3993-3311 http://www.city.nerima.tokyo.jp
●麻布学園管弦楽部OBオーケストラ設立記念演奏会8/10(日) 入場無料1330チャイコフスキー交響曲第5番 Multi ProcossingU(世界初演) 080-4463-2960
●ボトルシップ製作講座受講生 作品展示会 9/11(木)〜15(月) 入場無料  1000(初日1100)〜1700(最終1530)  03-3948-6947
●フレッシュ名曲コンサート2014チャイコフスキーの神髄〜ロシアの魂 9/30(火)\S3000A2500 1900「悲愴」「ピアノ協奏曲第1番」

T・ジョイ大泉 シアター
〒178-0063 練馬区東大泉2-34-1(オズスタジオシティ4F) 03-5933-0141 www.t-joy.net 
●舞子はレディ 9/13(土)〜  周防正行監督作品  あたし、舞子さんになる。 出演/上白石萌音 長谷川博巳 富司純子 草刈民代
●柘榴坂の仇討 9/20(土)〜 原作/浅田次郎 「仇討ヲ禁ズ」―その日、運命が動いた 出演/中井貴一 阿部寛 広末涼子 中村吉右衛門

和光市民文化センター サンアゼリア
〒351-0192和光市広沢 1-5(和光市駅徒歩15分) 048-468-7771 http://www.sunasalea.or.jp
●清水かつら記念第15回歌曲歌唱コンクール本選審査会 8/16(土) 1300 和光に住んだ「叱られて」「すずめの学校」等の童謡詩人
●三輪明宏ロマンティック音楽会2014 9/27(土) \7500 1800 生き抜く為の勇気、癒し、歓び… 魂の歌が貴方の心を満たします 

その他のコンサート・展覧会・公開講座など
●あしたのジョー、の時代展
 〜9/21(日)\500 1000〜1800 練馬区立美術館(中村橋) 月休 ちばてつや氏は練馬区在住 03-3577-1821
●松本零士展 〜9/28(日) 観覧無料 900〜1800 石神井ふるさと文化館分室展示室(石神井松の風文化公園内) 月休 03-5372-2572
「道の会」埼玉病院展 8月「お月見」 9月「旅」 国立埼玉病院(和光市) 写真・絵画・南画・イラスト・切り抜き紙版画 090-6034-3845
市場坂キツネノカミソリ見ごろ 8/上〜中旬 17日(日)1100保存会による観賞会 新座市営墓園内あづま屋 048-477-1111観光推進課
ちゃが馬祭り8/3(日)1700〜2000 石神井氷川神社(石神井台 1・18・24)ちゃが馬づくりワークショップ 神楽殿ライブ 03-3997-6032
練馬区ゆかりの文化人に関する展示室 展示解説 8/6・31・9/3・13 無料 1400 石神井公園ふるさと文化館分室 03-5372-2572
永原リタHot Summer Tシャツ展 8/6(水)〜10(日)1100〜1800スペースKIRAKU(保谷駅南口4分) 全てオリジナル 042-421-7517
いわさきちひろ×佐藤卓=展―はじめて見るちひろの世界- 8/6(水)〜11/3(月祝)\800 1000〜1700ちひろ美術館月休 03-3995-0612
被爆ピアノコンサート「未来への伝言2014」8/8(金)\35001430・1830よみうりホール出演/飯島晶子 おおたか静流readyfor.jp/projects/hibakupiano
長谷見誠フルートリサイタル 8/14(木) \3000 1830 ルーテル市ヶ谷ホール(有楽町線市ヶ谷駅2分) 和光在住演奏家 03-5927-1811
高倉瑤子(切り抜き紙版画)・飯島徹(写真)二人展 8/18(月)〜31(日) 1100〜1900 野の花司(銀座3・7・21松屋裏) 練馬在住作家2人 03-3535-6929
歌声喫茶ともしびinふるさと新座館 8/19(火) \2000(貸歌集\100別) 950〜1130 ふるさと新座館 03-6907-3801 ※特集面参照
布の絵本展8/22(金)〜9/3(水)1100〜1800オリエンタルハート(石神井町3・16・17) 元すずらん文庫(石神井町)主催渡辺順子作品 木休 03-3996-7419
五味康祐氏のオーディオで聴く名盤コンサート 8/23(土)・9/27(土)\300(または\500) 1330・1530石神井公園ふるさと文化館分室 03-5372-2572
朝霞・平和のための戦争展 8/23(土)〜25(月) 入場無料930〜1800 朝霞市図書館(青葉台1・7・26) 講演24日紙芝居23日 080-6787-0242真下
武藤挺一(二科会会員)展8/24(日)〜9/2(火) 1100〜1800スペースM(志木市本町1・2・2かわしん向)テンペラ画 水休 048-474-8486
第4回スリランカを知ろう〜スリランカの大人気のレストランにある料理を食べながら8/30(土)\2200 1330(交流会1730)田無公民館 042-466-8330
Classic for Babies 9/6(土) \500 1100 朝霞市民会館ゆめぱれす 出演/東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 授乳スペース有 048-466-2525
東京演劇アンサンブル「無実」9/11(木)〜21(日)\3800(当日\4500)時間要問合 ブレヒトの芝居小屋(武蔵駅駅北口6分) 03-3920-5232
資料館収蔵品展(書)・跡見廉書会第8回OG展9/22(月)〜11/8(土)入館無料930〜1630跡見学園女子大学花蹊記念資料館 日祝休 048-478-3333
三遊亭円楽独演会 9/27(土)\3600 1700 志木市民会館パルシティ(本町1・11・50) 襲名前は楽太郎 「笑点」で人気 048-474-3030


編集メモ
 『銀漢の賦』と10月映画公開『蜩(ひぐらし)の記』が葉室麟の双璧と位置づける人もいるけれど、編集部が挙げたいのは『秋月記』(角川文庫)と『いのちなりけり』(文春文庫)。この2作の解説は縄田一男氏です。

プチぶんか村設置箇所
・大吾        ・堀田ピアノ教室    ・藍学舎
・梅の大谷      ・たまてばこ      ・ナカタヤ
・みゆずメソン    ・青樹舎硝子工房    ・夫佐子はな
・法台寺       ・満月         ・ひまわり美容室
・フエゴ       ・新座交響楽団     ・工房まどい
・オリエントハローズコーヒー   ・国立埼玉病院     ・青山フラワー
・片山農産物直売所  ・呉服かたやま     ・ルジャンボン
・スペース陶     ・松崎医院       ・だいこんブラス
・切り絵&そば野田  ・田中屋酒店      ・石崎英数教室
・ニューアマンド   ・クロシェットドゥボワ ・うさぎの輪
・きもの処つるや   ・だちょう牧場並木屋  ・酒のおぎはら
・ポラン書房     ・JAZZ山田英二     ・クリアライフ
・ギャラリー北鎌倉物語・うどん亭       ・ギャラリーFUURO
・抹茶そば陣屋    ・フェルナンブーコ   ・田倉商店
・写団四季彩     ・花と美登利      ・こぐれ村
・目白大学      ・跡見学園女子大学   ・花蹊記念資料館
・シネサロン和光   ・和光文化を育む会   ・武蔵野楽器
・スペースM     ・シオン・桃美会     ・ギャラリーoh
・むらさきの会    ・ふたば植物画切り抜き紙版画教室
・ボサノバ諸星裕美  ・埼玉フィルハーモニー合唱団
・オリエンタルハート ・スペースKIRAKU    ・とれたて村石神井
・社会保険労務士伊藤事務所          ・ふるさと新座館
・新倉ふるさと民家園 ・石神井公園ふるさと文化館(本館・分室)
・新座観光プラザ 
☆練馬・朝霞・志木・新座・和光の各図書館・公民館
・美術館等文化施設

制作協力スタッフ
  北口雄輝 丸木ますみ 岩下曜子 土井久代 杉山英明 早川緋紗 宇杉


 
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