■特集 ステンドグラス考


 ヨーロッパの国々では光がステンドグラスやべネチアングラスを通過するときの色を楽しむ傾向にあり、中世の教会のステンドグラスにも目を見張るものが少なくありません。ぶんか村エリアにもハッとさせられる魅惑的なステンドグラスが散在。それらを見て歩くのも実に楽しいものです。

立教学院聖パウロ教会
 立教大学新座キャンパスのチャペルは、チェコ出身のアントニン・レーモンドの設計で1963年に竣工。中には祭壇に向かって左右3枚ずつの計6枚と、後ろのパイプオルガンの背面に壮大なステンドグラスがあります。レーモンド夫人による設計で配色が素晴らしく、降り注ぐ光が織りなす日中の趣に加え、夜は中の照明によって映し出される外からの眺めも素敵です。一見左右対称形に見えても「完全だと悪魔が入り込む」と、一枚一か所だけ左右非対称になっている部分があり、それを探すのも楽しみ。一般の見学は、チャペルを使用していない時に限り「チャプレン室事務課」に断れば可能。毎週火・水の12時40分〜13時の礼拝時や地域に向けたコンサートの時などにも見学できます。
新座市北野1-2-26
東武東上線志木駅から15分


志木聖母教会
 立教の聖パウロ教会とは同じ教派であるこの教会のステンドグラスは、ミラノ随一のステンドグラス作家サンテ・ピッツオールのオリジナルデザイン。正面に2枚、左右合わせて7枚、計9枚。正面左には父なる神とイエス、右に聖母マリア、両サイドは「太陽と月」が描かれ、十字架の中心を軸に同心円状に神の恵みが広がっていく様子が表現されています。朝日が差し込むとき、「祭壇の白布や床に映る影の美しさはたとえようもありません」と司祭の斎藤徹さん。
見学は日曜の礼拝時(午前10時30分〜)。それ以外は事前に要連絡。
048-471-3785
朝霞市三原2-19-59
志木駅から8分

石神井公園ふるさと文化館分室
 日本銀行のグラウンドを練馬区が譲り受け、昨年4月「石神井松の風文化公園」としてオープン。管理棟の中には特徴的なステンドグラスが2件あります。元クラブハウスの建物を生かしてリフォームされた管理棟は、アールデコ調の意匠。その中にステンドグラスは見事に溶け込んでいます。これらは日本ステンドグラス作家協会会長を務める三浦啓子さんの作品で、中央のは「語らう」、外との境にあるカラフルなほうが「友誼」と題がついています。どちらも英字サイン入り。上品かつ重厚さが感じられます。秋冬の夕方ともなるとステンドグラスを通して館内の灯りがもれる様が殊更美しく、閉館する18時直前頃に鑑賞するのも一興。ちなみに三浦さんの作品は東京国立博物館平成館、六本木ヒルズ、サントリーホールなどにもあるので機会があれば探してみては。
練馬区石神井台1-33-44
03-5372-2572

武蔵大学
武蔵大学の学園祭は白雉(しらきじ)祭。その白雉祭で三号館のラウンジ横に飾られるのが実行委員会広報局の学生さんが作ったステンドグラス。材料が紙とセロファンとはとても思えない見事な大作で、今年のモチーフは「もみじ」。四ツ切黒画用紙を42枚用い、制作には3〜4か月費やしました。「苦労は伴いますが、達成感が得られます。出来上がった時、貼りだした時の感動は忘れられません」。学園祭のあとしばらくはそのまま飾られ、最終的には廃棄処分。でもいつまでも心に残るステンドグラス…。
練馬区豊玉上1-26-1
西武池袋線江古田駅6分


練馬区立小竹図書館
近くに日大芸術学部、武蔵野音大、武蔵大学があることから芸術や外国語関連図書が充実している小竹図書館は、練馬区内でステンドグラスを有する唯一の図書館です。正面玄関を入って右手の階段を上ると踊り場に大きなステンドグラスが。ブルーを基調に落ち着いた色彩の幾何学的なデザインが印象的。東に向いているので、特に午前中が柔らかい色の芸術を奏でます。同館で月1回発行される図書館だよりも「すてんどぐらす」という名称。練馬区の友好都市オーストラリアのイプスウィッチ市から贈られた図書が並ぶイプスウィッチコーナー、小竹町に住んだ絵本作家馬場のぼる氏(故人)寄贈図書コーナーなどもあります。
練馬区小竹町2-43-1
03-5995-1121
江古田駅北口8分
有楽町線小竹向原駅7分

国立埼玉病院
 病院ロビーのステンドグラスは、練馬区に住む堤陽子さん渾身の作。新病棟新設の際に設置されました。「患者さんに希望を持っていただきたくて」(堤さん)題名は『希望』。「毎朝7時半から1時間ステンドグラスの前で患者さんや職員を笑顔の挨拶で出迎えておりますので、この作品には感慨深いものがあります」と関塚永一院長。
和光市諏訪2-1
048-462-1101
大泉学園駅または成増駅南口からバス 埼玉病院入口下車


<にいざほっとぷらざ>
さくら・さくら 〜さくら展vol.11〜

 お待たせしました!地元在住の美術・手工芸作家三十数名が「桜」をテーマに腕を競い合うさくら展が3年ぶりに復活します。ジャンルは絵画、ステンドグラス、書、染、ガラス、手芸、木工、銀細工、写真、切り絵、フェルト、現代アート、茶、和洋菓子…と多彩で、2013年にヘルシンキで開催して好評だった「フィンランドさくら展」の報告を兼ねたフィンランドコーナーや、昨年新座市内で発見
された優雅なミョウオンサワハタザクラのコーナーを設け、さらにはコンサート、トークショー、ワークショップなど盛りだくさん。
ギャラリーでひと足早いお花見を!! 3/1(火) 〜7(月) 10: 00(初日13:00)〜18:00 情報欄参照 

<訪問>
久保田チェンバロ工房in新座
  
 「新座で作られたチェンバロの演奏を奥尻島で聴きました!」と読者から。そこで市内にある工房を訪ねました。久保田チェンバロ工房の久保田彰さんは日本でも有数のチェンバロ製作者。撥弦楽器であるチェンバロの歴史は古く、バロック全盛期には宮廷音楽を華やかに彩ったことで知られています。意匠の美しさも特徴。久保田さんの音色に出会うには「東京オペラシティホールがよろしいでしょう。常設されていますから」。江古田のチェンバロサロン「ベルガミオ」でのコンサートも狙い目です。
工房ホームページ
http://www.kubota-cembalo.com/

<タウン>
フエゴのステンドグラス

 フエゴとはスペイン語で「遊び」の意。練馬区谷原でステンドグラス工房を主宰する堤陽子さんは、20年のキャリアを生かし「住まいに溶け込む飽きのこない作品づくり」を信条に30名の生徒さんを指導しています。デザインを決めて型紙を作り、型紙に合わせてガラスをカット、グラインダーで磨きハンダで接着…。「パブリックスペースで多くの人に見てもらえる作品を」との願いは国立
埼玉病院でみごと開花。12月に作品展を開催します。
情報欄参照

<催し>
地元発「千夜一夜座」朗読公演 1/15(金)〜17(日)

練馬区在住の元中京テレビアナウンサー(現在フリー)の黒柳千寿江さん率いる劇団「千夜一夜座」。小学・高校生の母親でもある氏の演劇に対する強い情熱と人間性に惹かれた実力派俳優たちが多数参加。2013年の旗揚げ以来、演劇「星の王子さま」、語りの世界「闇に浮かぶ花明り」などの本公演を軸に子どもたちへの朗読ボランティアや公演活動を行ってきました。第5回目となる今回の演目は「絵のない絵本」「クリスマスキャロル」。1800年代という同時代を生きたデンマークのアンデルセンとイギリスのディケンズの2作家を取り上げます。初日と2日目は元NHKアナウンサー宮本隆治氏がゲスト出演し、公演後にはトークライブも。プロの演出も見どころです。阿佐ヶ谷アートスペースプロットにて。情報欄参照

  

■ぶんか村エッセイ(95)

殴り合いの文化交流
新座 宏(公務員プロボクサー)


◆プロフィール

にいざ ひろし 本名渡邉宏。愛知県名古屋市生まれ。10歳から埼玉県に移り住む。民間企業に勤務した後、新座市職員として勤務する。大学時代に一度プロボクサーとしてデビューしたが、一戦で引退。その後新座市職員として勤務しながら、約10年越しに再デビューした。

私がボクシングを始めたのは大学生の時だ。競技を続けていくうちに上達し、学生時代はプロボクサーとして一度だけリングにあがった。ボクシングはハードなスポーツであることから、社会人になり、一度は引退したが、その後も時間のない中、私は練習を続けていた。それは何故か。
一番の理由は切磋琢磨している仲間の存在である。同じジムであれ、試合で対戦した相手であれ、数分間の殴り合いをしたものだけが感じあえるものがある。それは普通の生活では感じ得ない充実感であったり、爽快感であったり。それらを共有できる仲間はかけがえのないものであり、これこそがボクシングというスポーツの持つ文化交流であると感じる。こういった仲間と一緒に練習する時間は、私にとってはかけがえのないものであったわけである。
そして、現在、私は新座市職員として勤務しながら、市長から特例的に許可を頂き、プロボクシングのリングにあがらせて頂いている。公務員として仕事をさせて頂く以上、仕事を疎かにしないことと、ファイトマネー全額を市に寄付することとを条件に、プロボクシングに再度チャレンジするチャンスを得た訳である。次戦は12月11日(金)後楽園ホールにて行われる予定であり、私が勤務させて頂いている新座市をPRするために「新座宏」というリングネームでリングにあがる。新座市のためにも、練習を共にしてきた仲間の期待に応えるためにも、勝利をもぎとりにいく。


 
■ぶんか情報

大泉学園ゆめりあホール・ギャラリー
〒178-0063 練馬区東大泉1-29-1(大泉学園駅北口)03-5947-2351
www.city.nerima.tokyo.jp/
映画誕生120周年企画「活動写真弁士と生演奏による無声映画上映会」 1/17(日) \1000 1400上映作品「福寿草」 弁士/片岡一郎
小出裕章(講演)佐々木真(フルート)新垣隆(ピアノ)2/19(金) \3000 1500・1900 モーツアルトヴァイオリンソナタホ短調(フルート版)他 048-477-1313

練馬文化センター(ホール・ギャラリー)
〒176-0001 練馬区練馬1-17-37(練馬駅北口)03-3993-3311  http://www.city.nerima.tokyo.jp/
フレッシュ名曲コンサート2015 大友直人と若き声楽家たち〜クリスマス・コンサート〜 12/23(水祝)\S3000A2500 1400喜歌劇「こうもり」より序曲ほか
練馬ゆかりの名作映画会1/11(月) \900 「愛怨峡」1400・「網走番外地」1600・併映日本大学芸術学部映画学科卒業制作作品2本1130

T・ジョイ大泉 シアター
〒178-0063 練馬区東大泉2-34-1(オズスタジオシティ4F) 03-5933-0141 http://www.t-joy.net/
杉原千畝 12/5(土)〜第二次世界大戦下 日本政府に背き 命のヴィザを発行し続け6000人にのぼるユダヤ人を救った男の真実の物語 出演/唐沢寿明
海難1890 12/5(土)〜 なぜあの時、トルコは日本を助けてくれたのか。 出演/内野聖陽 ケナン・エジェ 忽那汐里 アリジャン・ユジェソイ
母と暮せば 12/12(土)〜 松竹120周年記念映画 山田洋次監督作品 出演/吉永小百合 二宮和也 黒木華 浅野忠信 加藤健一

和光市民文化センター サンアゼリア
〒351-0192和光市広沢 1-5(和光市駅徒歩15分) 048-468-7771 http://www.sunasalea.or.jp
オペラ彩32回定期公演「ランメルモールのルチア」 12/5(土)1800・6(日)1400 \S10000A8000B7000C5000 048-201-3121和田
(独)国立病院機構埼玉病院第23回市民公開講座「消化器内科と肝・胆・膵」12/16(水)入場無料(要申込)1330 048-462-3062(900〜1700)

その他のコンサート・展覧会・公開講座など
武蔵野の禅刹「平林寺」伝来の書画名宝展 〜12/12(土) 無料 1000〜1600(土1400) 花園大学歴史博物館(京都) 日休 075-811-5181
日本女子大学に学んだ児童文学者たち〜12/19(土)入館無料1000〜1630成瀬記念館 石井桃子いぬいとみこ安房直子あまんきみこ他 日月祝休
牧野富太郎を継ぐ 藤島淳三―ボタニカルアートの開拓者― 〜12/23(水祝) 入場無料 930〜1630 牧野記念庭園記念館 火休 03-6904-6403
まるごとちひろ美術館〜世界で最初の絵本美術館 〜1/31(日) \800 1000〜1700 ちひろ美術館(下石神井4・7・2) 月休 03-3995-0612
浜田浄の軌跡-重ねる、削る絵画- 〜2/7(日) \300 1000〜1800 練馬区立美術館 元練馬区小学校図工教師 月休 03-3577-1821
「道の会」国立埼玉病院展示 12月「クリスマス」・1月「新年」 国立埼玉病院(和光市諏訪2・1) 写真・絵画・南画・書 090-6034-3845
クリスマス三人展12/2(水)〜6(日)1000〜1800 スペースKIRAKU (保谷駅4分)染色バティック・テキスタイルデザイン・羊毛フェルト 042-421-7517
いわたみのる陶額・ガラス絵展12/4日(金)〜16(水)1100〜1800 オリエンタルハート(石神井町3・16・17) 12/5・10休廊 03-3996-7419
東京打撃団 12/6(日) \3500 1600 志木市民会館パルシティ(志木市本町1・11・50)懐かしくて新しい和太鼓アンサンブル 048-474-3030
第3回江古田研究会「江古田温故知新-ちょっと昔のまちのこと」12/7(月)小竹地域集会所1330・15(火)栄町会館1000 03-3993-5451
フエゴ ステンドグラス作品展 12/9(水)〜13日(日) 1000(初日1300)〜1700 成増アートギャラリーC (成増駅北口アリエス3F) 090-4055-2257
プロボクシングOPBF東洋太平洋スーパー・ミドル級タイトルマッチ12/11(金)\4000 1750 後楽園ホール 新座宏氏(本紙エッセイ)出場 03-3598-5755
諸星裕美クリスマスライブ12/13(日)\1500(当日2000) 1400 Gallery USHIN(小手指町1・22・13・102) 加藤泉(ギター) 04-2997-8720
立教大学オーガニスト・ギルド クリスマスコンサート12/13(日)1500 立教学院聖パウロ礼拝堂(新座チャペル)niiza@grp.rikkyo.ne.jp
佐々木真第14回フルートリサイタル12/23(水祝)\3500 1400王子ホール(地下鉄銀座一丁目5分)バッハ「無伴奏チェロ組曲第3番」 048-477-1313
東京演劇アンサンブル「銀河鉄道の夜」12/23(水祝)〜26(土)\3800(当日4500)時間要問合 ブレヒトの芝居小屋(関町北4・35・17) 03-3920-5232
女子大学創立の恩人-広岡浅子展1/12(火)〜3/4(金) 入館無料1000〜1630(土1200)日本女子大学成瀬記念館 日月祝休 03-5981-3376
千夜一夜座「絵のない絵本」「クリスマス・キャロル」1/15(金)〜17(日)\3000時間要問合 阿佐ヶ谷アートスペースプロット 070-6406-1018
博物館実習生模擬展示 1/27(水)〜2/9(火) 入館無料 930〜1630 跡見学園女子大学花蹊記念資料館(新座市中野) 048-478-0130
THE BEATLES NIGHT 1/29(金) \5000(バイキング式食べ放題・飲み放題) 1930 朝霞市民会館ゆめぱれす(朝霞駅12分) 048-466-2525
石山裕雅の会―第四節―1/31(日) \4500(当日4800)1345渋谷区文化総合センター大和田(渋谷駅西口5分)勧進神楽 048-477-2298
さくら・さくら〜さくら展vol.113/1(火)〜7(月) 入場無料1000(初日1300)〜1800にいざほっとぷらざ(志木駅隣接) 090-6034-3845

編集メモ
 新座からまた一人プロボクシング選手が誕生しました。その名も新座宏さん。二足のわらじでご苦労だとは思いますが、市民も読者のみなさんも大きな声援を送ってください。若者を支えるのは地域力です。

プチぶんか村設置箇所
・大吾        ・堀田ピアノ教室    ・藍学舎
・梅の大谷      ・たまてばこ      ・ナカタヤ
・みゆずメソン    ・青樹舎硝子工房    ・法台寺
・満月        ・ひまわり美容室    ・フエゴ
・新座交響楽団    ・工房まどい      ・オリエントハローズコーヒー
・国立埼玉病院    ・青山フラワー       ・片山農産物直売所
・呉服かたやま    ・ルジャンボン     ・スペース陶
・松崎医院      ・だいこんブラス    ・切り絵&そば野田
・田中屋酒店     ・石崎英数教室     ・ニューアマンド
・クロシェットドゥボワ・うさぎの輪      ・きもの処つるや
・だちょう牧場並木屋 ・酒のおぎはら     ・ポラン書房
・JAZZ山田英二    ・ギャラリー北鎌倉物語   ・ピアノクリエ
・うどん亭      ・FUURO         ・フェルナンブーコ
・田倉商店      ・写団四季彩      ・花と美登利
・こぐれ村      ・目白大学       ・跡見学園女子大学
・花蹊記念資料館   ・シネサロン和光    ・和光文化を育む会
・武蔵野楽器     ・スペースM      ・シオン
・桃美会       ・むらさきの会     
・ふたば植物画切り抜き紙版画教室       ・ボサノバ諸星裕美
・埼玉フィルハーモニー合唱団 ・オリエンタルハート       ・スペースKIRAKU
・社会保険労務士伊藤事務所          ・とれたて村石神井
・歌声喫茶ともしび  ・武州里神楽石山社中  ・後藤友禅染色工房
・石神井公園ふるさと文化館          ・ふるさと新座館
・新座観光プラザ   ・新倉ふるさと民家園
・石神井公園サービスセンター・珈琲焙煎工房ロアン
・千夜一夜座☆練馬区&朝霞志木新座和光各市公共施設

制作協力スタッフ
  北口雄輝 丸木ますみ 岩下曜子 土井久代 杉山英明 早川緋紗 宇杉


 
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