■富士山愛



「富士は日本一の山」と唱歌に歌われ親しまれてきた富士山は、世界遺産に登録されて以来世界中から注目される山となりました。インバウンドの人々が登山に押し寄せています。愛される富士、愛する富士とはどのような富士山なのでしょうか。


500回富士山に登頂した男
 大貫金吾さんは、新座市にある立教高校の数学教師で山岳部長だった頃、その責任感からトレーニングとして富士登山を始めた。ちょっと池袋へというノリで出かけたそうだ。山頂まで1日2往復したり、裾野の田子浦から山頂まで日帰り登山をしたり、「シリアイゼン」を独自開発して冬山に登ったり。2005年10月25日、500回の富士登山をみごと達成し、マスコミを賑わせた。登山記録も几帳面に残している。当時プチぶんか村が主催した「わたしのマウン展」では誰もが驚嘆する富士山頂の写真を披露した。

富士山が見えたよ
 新座市民総合大学の卒業生が集結したシニア団体「緑とまちづくりの会」が野火止公民館祭りに参加し、取り組んだのが「富士山が見えた!マップ」。地域の富士山ビュースポットをコレクションした地図を制作した。市内で誰もが富士山を見られるスポット探し。こんな場所で?…思いがけず富士山が見えるとなぜかうれしいものだ。西に下る坂道、東へ流れる川沿いなどがポイントになる。意外と穴場なのが「スーパーマーケットの屋上駐車場」。「こうしたところからも見えますよ」と来場者からの情報もあり、会場は盛り上がった。


富士講にみられる信仰の山 
 三十三度の富士山登拝をして大願成就を果たした新座中沢村の浅海吉右衛門は、天保2年(1831)法臺寺境内に富士山を模した片山富士を築いた。吉右衛門を講祖とする丸吉講はその後周辺地域に広まり、数多くの富士塚が造られた。片山富士の登山口にある石塔には、北は入間郡、西は所沢、南は練馬・板橋方面の名が刻まれ丸吉講の勢力のほどがうかがえる。また吉右衛門と丸吉講は、本家静岡にもその名をとどろかせていたという。

近くの富士山に登ろう
 東京には約50基、埼玉県内には数百基の富士塚があるらしい。富士塚巡りをライフワークにしている人も多い。本場の富士登山は無理でも富士山を模した富士塚なら同じご利益が得られるというし、パワースポットになっているというから手軽に登拝できそうだ。とはいえ溶岩や石造物が配置してあったり急な坂や階段であったりするので装備や歩行には気をつけたい。常時開放している富士塚がほとんどだが、閉鎖している場合でも社務所や寺務所に声をかければ登拝させてもらえることがある。また、年中行事、例えば正月3が日とか富士山の山開きの7月1日前後に一般開放する例もある。
 次におもな富士塚を挙げてみよう。

・江古田富士(練馬区小竹町1-59-2 浅間神社境内)
西武池袋線江古田駅北口すぐ。
都内の富士塚では規模が大きい。国指定文化財。

・中里の富士塚(練馬区大泉町1-44 八坂神社脇) 
36基の石碑・石像がある。道祖神の碑が珍しい。清瀬にも同名の中里富士がある。
   
・片山富士(新座市道場1-10-13法臺寺境内)丸吉講により最初に築かれた。塚の原形をよくとどめている。登拝証が必要。

・白子富士(和光市白子2-15熊野神社境内)明治3年(1870)丸瀧講によって造られた。底辺の一辺が30mの正方形、高さは10m。埼玉県内でも最大級の規模。(写真左)


・田子山富士塚(志木市本町2・9・7 敷島神社境内)
古墳と思われる丘の上に土盛りをして2年8か月かけて完成した。現存する富士塚では最大級。保存会により守られてきた。国指定文化財。

有田焼
 有田焼は佐賀県なのになぜ富士山をデザインした商品が多いのか。商標が富士山という深川製磁では様々な器に富士山が描かれている。パリ万博以降100年技法のひとつとして知られるふりかけ技法を駆使して富士山をデザイン。以後他の追随を許さない最高峰として支持されてきた。
 写真はおそらく有田焼。使うよりは飾っておきたい。

「富士山を見たら親孝行」
 箱根に旅行したとき、バスガイドさんが話してくれた。根拠はなくても富士山を見ることで親孝行ができるなら信じても。積極的に富士山を仰ぎ見ることにしよう。富士山は見ているだけで気持ちを楽にしてくれるありがたい山だから。

内閣総理大臣賞受賞報告
 身近な自然を知り、守り、活かす活動をしてきた和光?緑と湧き水の会。様々な活動からこの度緑化推進運動功労者内閣総理大臣賞を受賞しました。
「長い間の精いっぱいの活動が、思いもかけず今回の内閣総理大臣賞という立派な賞につながりました。多くの方々の暑い時も寒い時も保全活動への参加、それに加え主人勝緒の協力、高橋秋(息子)が作った絵本と紙芝居など家族の協力。更に、柳下技研蒲l、潟潟]ン様からの会への応援ご寄付、また合同会社OBNの素晴らしい技術のご協力に対し感謝に堪えません。身近な都市部にある湧き水環境の大切さを、これからも皆さんで広げ残していきたいとの思いです。皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。NPO和光・緑と湧き水の会代表理事 橋絹世」 ※高橋さんのエッセイ(2024年10・11月号)では会の活動について詳しく紹介されています。

今日の日はさようなら 金子さんさようなら
 「いつまでも たえることなく 友達でいよう…」
世代を越えて親しまれてきたフォークソングの作詞・作曲者金子詔一さんが、今年4月1日に亡くなった。
金子さんは大泉学園町のオリエントハローズコーヒー(現在閉店)のオーナー猪俣勝さんとは立教時代の学友で「俺たちの青春はすずかけの道にある」という仲。熱い絆で結ばれていた。(二人のエピソードについては2014年12月号の本紙エッセイをご覧ください)。当時猪俣さん方では「うたごえ喫茶」を催していて、そのことを知った金子さんが珍しいグランドピアノを一時寄贈。そのピアノでコンサートなども開かれ、数年間は街の音楽振興に役立った。現在グランドピアノは富士山の裾野で活躍しているそうだ。かつて学友たちが学園町で金子さんや猪俣さんを囲んだ賑やかな場面を取材した。金子さん、やすらかに。享年83。合掌。

Enjoy! 成増
 なります スキップ村商店街入口で見かけたビッグな壁画広告。ビル一面に突如現れてビックリ。大きすぎて目立つから気づいている人もいるだろうが、コレを見たら誰もが成増が楽しい街だと思うはず。成増を楽しんじゃおう…という気分がわいてくる。右は国道254線の車中から撮影。






正太郎うどん
〜「げんきぃぬ」さんより〜

 「正太郎うどん」は、ちひろ美術館から徒歩3分。この辺りの郷土料理である太くてコシのある武蔵野うどんをお腹いっぱい味わえる地域に根ざした温かいお店。店主が早朝から心を込めて仕込んだ打ち立て茹で立て超大盛り麺が自慢です。季節限定「けんちんうどん」や「梅おろし」も人気。名物の「つけ汁肉うどん」(写真)は甘みを感じる特製つけ汁でいただきます。普通盛りでもなんと生麺450g!を使用し、圧巻のボリュームです。家族連れにも優しく、一人前をシェアOKなのも嬉しいポイント◎。
練馬区下石神井5-1-35
11:00〜20:00(14:00〜17:00休)月・火はランチのみ
水曜・第3木曜定休 03-3995-7695



■ぶんか村エッセイ141



「旅」そして人との出会い
渡邉サト江(元『旅の図書館』館長)

わたなべ さとえ 1973年立教大学史学科卒業後、(株)日本交通公社(現JTB)に入社。出版事業局で企画・総務・ガイドブック編集勤務の後、1981年財団法人日本交通公社に出向。観光文化資料館(現『旅の図書館』)に勤務し2011年退職。


 現在の『旅の図書館』は観光の研究者に向けた施設になっているが、出向した当時は「旅の下調べの図書館」で「テーマある旅をしよう」がコンセプトであった。毎週末少しずつ東海道を歩く、吟行の行く先やバードウォッチングのできる場所を探す…など様々な利用があった。そんな中で図書館をより充実させるために図書館司書の資格を取得。経団連図書館で実習を受け各種専門図書館の司書との交流を深め情報交換することができた。
 その図書館時代、友人に誘われて行った東大寺修二会で偶然高僧に紹介され、その縁で40年の間毎年春の修二会、秋の正倉院展と奈良に通うこととなった。また毎年修二会で顔を合わせる女性たちとも親しくなり、その付き合いはいまだに続いている。
 たとえ一期一会であっても、旅先で話をすることで世界が広がるのではないかと思う。先日も温泉に行きタクシーに乗った時、その地方が昔はとても暑く夏になると電線から雀が落ちてきたという面白い話が聞けた。テーマある旅も今やインバウンドの人々のほうが楽しんでいるのかもしれない。
 旅と同様に、本にも一期一会の出会いがある。観光を学んでいる学生も、ネットだけでなく是非活字に触れてほしい。司書が悩んで選書し分類している本の中には、自分が探している本でなくても類似した本やヒントが隠れている本もあり、そんな偶然の出会いで世界が広がることだろうことを、昔の司書としてせつに願っている。



■おでかけ情報



あらかじめ確かめてからお出かけください。
定休日が祝日の場合は翌日休となる等もあります。

●武蔵野鉄道開通110周年
―西武池袋線と沿線のあゆみー
開催中〜6/8(日) 9:00〜18:00 観覧無料 月曜休館 石神井公園ふるさと文化館 練馬区石神井町5-12-16 (石神井公園駅15分) 03-3996-4060

●世界に向けて日本の有用植物 ―植物に感謝―
開催中〜6/30(月)9:30〜16:30入場無料 火曜休園
牧野記念庭園記念館企画展示室 練馬区東大泉6-34-4
(大泉学園駅南口5分) 03-6904-6403

●写真展 ホタルー生命の輝きー
開催中〜7/13(日) 9:00〜18:00観覧無料 月曜休館 石神井公園ふるさと文化館 練馬区石神井町5-12-16 (石神井公園駅15分) 03-3996-4060

●片山村150周年記念展
開催中〜7/20(日) 9:00〜17:00 れきしてらす(新座市立歴史民俗資料館) 月曜・祝日・6/27休館 新座市野火止2-9-37 048-481-0177 ※10村併合で誕生した片山村。石造物、地図、法臺寺の文化財等を展示

●アンデルセン生誕220年
ちひろと見つめるアンデルセン

開催中〜7/21(月) 10:00〜17:00 1200円 月曜休館 ちひろ美術館・東京 練馬区下石神井4-7-2(上井草駅7分) 03-3995-0612 

●第23回新座美術協会展
6/2(月)〜8(日) 10:00(初日13:00)〜17:00(最終日
16:00) 入場無料 新座市民ギャラリー(新座市役所第二
庁舎1階) 090-8700-4823(丸田) ※絵画・版画・写真・
彫刻・インスタレーション・陶芸

●映画『国宝』
6/6(金)〜 TジョイSEIBU大泉ほか 監督/李相日 
出演/吉沢亮 横浜流星 高畑充希 寺島しのぶ 田中泯
渡辺謙 ※誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。
もがき苦しむ壮絶な人生の先には…

●江戸時代 にいざ周辺の富士講について
6/7(土) 13:30 参加無料 ふるさと新座館ホール 新
座市野火止6-1-48(JR新座駅10分) 048-478-
4523 ※講師/吉田政博(板橋区教育委員会事務局生涯
学習課文化財係学芸員)※主催/新座市観光ボランティア
協会048-424-4686

●西陣美術織 若冲 動植綵絵展
6/12(木)〜16(月) 10:00〜17:00(最終日16:00)
入場無料 和光市民文化センターサンアゼリア 展示ホ
ール 和光市広沢1-5 048-468-7771
※江戸中期の奇才伊藤若冲の代表作を京都の伝統工芸西
陣織で復元 ※問合せ先/075-548-7505

●ジョリーウエスト・ジャズオーケストラ
6/15(日)13:30 1000円 ふるさと新座館ホール
新座市野火止6-1-48(JR新座駅10分)048-478
-4523  ※曲目/グレン・ミラー、ベニー・グッドマン
など 特別出演/田辺信男(テナーサックス) Irohaイロハ

●歌声喫茶ともしびin大泉学園
6/17(火) 14:00 2000円 7/15(火)14:15 3000円 (要予約03-6914-1621ともしび音楽企画) 大泉学
園ゆめりあホール(大泉学園駅北口1分) 03-5947-
2351 ※7/15はベイビーブーのミニコンサート付

●小野荒野・十三月の旅の絵画展
6/19(木)〜24(火) 11:00〜18:00(最終日17:00)
ギャラリー・スペースM 志木市本町1-2-2 048-474-8486 ※世界40数ヵ国を歩き、全国作品展の旅も200回超。初めての志木へ

●歌の泉 みんなで歌おう想い出の歌
6/24(火)・7/15(火) 14:00 参加費500円 練馬区立勤労福祉会館 練馬区東大泉5-40-36(大泉学園駅南口3分)03-3923-5511※申し込み不要 退出自由

●QUEEN Night
6/27(金) 18:00 5500円(食事付飲み放題) 朝霞市民会館新館・高砂 朝霞市本町1-26-1 048-466-2525 ※出演/QUEENNESS(クイーンネス) ※マーキュリーのライブアレンジで蘇るクイーンの名曲

●コール・キャロット第13回演奏会 
7/3(木) 14:00 入場無料 練馬文化センター 練馬
区練馬1-17-37(練馬駅1分) 03-3993-3311
※問合せ先/03-3970-1183 ※合唱

●新座交響楽団第43回定期演奏会
7/13(日) 14:00 1000円 新座市民会館 新座市
野火止1-1-2(バス停新座市役所4分) 048-481-11
11 ※曲目/シューベルト交響曲第8番「ザ・グレート」
マーラー交響詩「葬礼」

●劇団銅鑼公演『「真っ赤なお鼻」の放課後』
7/15(火) 19:00 4000円 練馬文化センター 
練馬区練馬1-17-37(練馬駅1分) 03-3993-3311
問合せ先/03-3937-1101 ※現代の若者が純粋な夢
と出逢い、ひとりの人間として成長していく物語


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次号は2025年8月1日発行予定