■精神ハーブ



 『精神ハーブ』は書名。ライン出版が立ち上がる前、プチぶんか村が創刊する2年前の1998年に刊行されました。まだ一般家庭にパソコンが普及していない時期に、ワープロを駆使してこうした大作ができたのは地元の膨大な支えがあったから。四半世紀を越えた今、『精神ハーブ』の世界を振り返ってみることにしました。

遺稿集を出版したい
 土井久代さん(新座栄)から「三十三回忌に配りたいが夫・土井正徳の遺稿を一冊にまとめられないでしょうか」と相談を受けたのが事の始まり。一周忌に遺稿集が出版される例はあっても三十三回忌というケースは珍しい。久代さんの願いをかなえるべく、預かった古い雑誌の切り抜きの束を印字する作業が始まった。







土井正徳博士
 久代さんの夫、土井正徳氏の経歴は次の通りである。
明治33年(1900)熊本県宇土市生まれ。東北帝国大学医学部卒業、医学博士。精神分析、児童福祉、母子精神衛生の権威で、満州、大連、旅順の医科大学、病院等で指導したのち帰国。福岡県中央児童相談所長を経て最高裁判所家庭局技官となる。東洋大学教授なども務めた。著書に『人格学序説』『精神医学提要』『少年非行の社会精神医学的構造』など。享年66。
 ここで忘れてならないのが久代さんの献身。五島列島の久賀島出身の久代さんは、夫とともに大陸に渡り、帰国後も新座に落ち着くまで転々としながら連れ添った。連載していた雑誌の切り抜きを大切に保管していたために『精神ハーブ』の発行が実った。そして三十三回忌に間に合って参列者に配られたのである。
 今頃久代さんは正徳さんと再会してこの本について、またふるさと九州について語り合っているのではないだろうか。

『精神ハーブ』
 B5版556ページの重厚な本であるが、そのなかには96編の少年犯罪や母子衛生にまつわる事例が収録されている。マスコミで報道され、教育関係者などからの照会が相次ぎ反響も大きかった(現在は絶版)。
 驚くなかれ、本書中に大泉を訪ねた記録が載っている。昭和31年(1956)のことである。そのころの大泉学園の様子が描写されているのが興味深い。どんな駅舎だった頃なのか。

みかえり大泉寮訪問記
 「みかえり大泉寮の訪問記を書くようにとの、母子福祉からのご命令である」とはじまり、
池袋で案内役の女性と待ち合わせ、大泉学園駅に降り立つ。たぶん南口だろう、「麦畑の間の道を通って目的の方向に進んでいった」。想像するにその麦畑の麦は製粉されてうどんになったのではないか。当地はうどん文化が盛んである。
 寮長室に通され、話が終わると「晴れた日にはこちらの窓から富士がよく見えるのです」と案内される。
 バラック建の大部屋式の雑居寮(一人当たり一畳半という15畳の部屋)やテント張りの大部屋式の雑居址、保育所、診療所等を視察。三畳一間の個室に住む世帯は社会に出る準備をしている更生した人たち。身なりは貧しくても「子供たちは朗らかで明るく、のびのびしている。母親たちの話ぶりもはきはきしていて要領を得、明るかった」「この寮と住んでいる人たちは、偶然の臨床社会学の実験であるということができる。応対してくれた先生や職員の方々に学問的な裏付けをしたい誘惑を感じざるを得なかった」と土井氏は結んでいる。

「みかえり大泉寮」とは
 乏しい資料を紐解いてみた。
 「みかえり大泉寮」は東大泉町145(当時の住居表示)にあった母子の更生施設である。
終戦後、戦災や引揚等により夫や父を失った母子たちが職も家もなく市中をうろつく姿に、労働護国会婦人部の事業として収容施設をつくることになった。当初は浅草の鉄筋コンクリート2階建の焼失ビルを借り、母子収容施設の認可を得た上で30名近くを収容した。
 しかし、年々母子の入寮希望者が増加、収容しきれなくなり、昭和25年(1950)練馬区大泉にある大泉帰農訓練所の一部を借り受けて分寮を開設することに。27年(1952)生活保護法による施設の認可を得て、敷地面積2072坪(東京ドームグラウンド半分強の広さ)、建坪546坪、11棟の中に約500名以上の母子を収容するまでに拡大した。28年(1953)に保育園、翌29年に診療所が設けられ、更生事業施設として大きな役割を果したのである。
 『精神ハーブ』はこうした施設が大泉に存在していたことを伝える資料の一つといえる。

おおよそどのあたりか
 牧野記念庭園の西方約500mのエリア。今は白子川の源流に近い住宅密集地となっている。東大泉七郵便局の南側一帯とされるが、現地へ行っても往時の面影を偲ぶことはできない。が、唯一電柱に「見返」の文字。今はもう誰も気づかずに通り過ぎているに違いない。





「福田博子遊筆展」にようこそ
 言葉や文字は、存在や行為、想いなどを伝え、残す手段として生まれ発展してきました。漢字圏では、文字は意味合いをもって生まれたもので、アルファベットや記号などにはない魂が宿っていると考えられてきました。福田博子の遊筆は心を高く遊ばせた筆さばきにより、文字の形式美を超えて、言霊(ことだま)を有するものとして表現しています。観る方の感性でどうとらえるかは自由です。遊筆を味わい愉しんで下さい。お好きな作品を一人2点まで無償でお譲りします。この遊筆展は、未来の福島こども基金との共催で、会場に団体の展示コーナーがあります。
活動および趣旨にご理解をいただきご寄付をお願いしています。寄付は全額福島のこどもたちを守るための活動に使わせていただきます。10/25・26 サンアゼリア ※おでかけ情報参照


風遊雲


私の絵画が秀ノ山部屋へ
 昨年3月福岡県柳川市に100号の絵を寄贈した際、金子市長から柳川出身の秀ノ山(元大関琴奨菊)部屋が新築されるという話を聞きました。幼い頃から有明海の真赤な夕陽を眺めて育った親方は、昨年11月九州場所の際に私の生まれ故郷である大木町庁舎を訪れ、展示されている私の作品を観て新しい相撲部屋に是非飾りたいとの意向を示されたそうです。そこで大木町広松町長と相談して有明海の夕陽を描いた「希望・また昇る夕陽」100号を新築祝いとして寄贈することになりました。この秋から相撲部屋に掲げられます。「夕日は沈むが必ず明日には希望ある、光輝く太陽となって昇って来る」との意味を持つこの絵画が、部屋の若いお相撲さん達に夢と希望を与えられればと願っています。
近藤征治(新座市)

東京展に行ってみない?
 今年51回を迎える東京展のなかでも絵本の部屋は日本最大の規模を誇る手作り絵本の祭典。そこに毎年「国立埼玉病院道の会」のメンバーであるさいとうしずえ、タケダヒロコ、山口桃の3名が参加している。さいとうは音楽絵本『クリスマスイブ・ブギウギ』と『月の、見たもの』の2冊。『太陽が、いっぱい』はタケダ作品。夫を亡くした時期に起きた不思議なことや心温まることをレクイエム絵本として制作。『なっちゃんの大きな、かさ』(山口)は、傘をさして遊ぶ幼い女の子の絵本。山口は国立埼玉病院に展示したプラスチック再利用貼り絵『鶏』も出展する。
10/8〜14 東京都美術館
※おでかけ情報参照


石神井公園のらーめん ろくはうす
〜元気なママさんより〜
 石神井公園駅南口すぐ。清潔な店内だけに女性客も多い。味噌らーめんが苦手な私でも「推しデス!」。 看板の味噌らーめんは、信州白麹味噌ベース。甘みとコクが絶妙なバランスで優しく上品。やや縮れ麺との相性も抜群!熱々スープによく絡み、僅かに香るごま油が食欲をかき立てる。ホロホロのチャーシュー、メンマとワカメが乗っている。卓上の味変も豊富。ランチは麺1.5倍無料! 激辛味噌らーめんは1〜5辛+極! 極は完食4名。挑戦者求む!

練馬区石神井町3-19-16 
03-6794-6969
月火木金11:00〜15:00 
17:00〜22:00 
土日祝11:00〜21:00 
水曜定休




■ぶんか村エッセイ143



全国キャラバンへ夢馳せる「森の音楽会」

小見野成一(ソロシンガー)

こみの せいいち(ISSEI=イッセイ) イッセイは編集者時代のペンネーム。学生時代は早稲田のジョージ・ハリスン又はマイク真木。60代はおヒョイこと藤村俊二に準えコヒョイ。70代は新座のバイデン(米国前大統領)、最近では銀座のジャスティン・ビーバーと呼ばれ2023年からソロシンガーに。十文字学園女子大学の臨時講師を拝命、環境組織HUGネット等支援の輪が拡大中。朝霞出身、新座在住。75歳


 安田講堂占拠事件が世間を震撼させた1969年の翌年、私は早稲田大学に入学した。岡林信康に憧れフォークソングクラブ(略称WFS)に入部。ザ・リガニーズら人気バンドが割拠する部内で、楽器経験すらない私が激戦の定例コンサートに連続出場を果たし、東芝・ビクター発売のLP3枚に楽曲を収録。WFS引退後は「にほんのうたを唄う会」に出演、興行コンサートを開催し、南青山のクラブで弾語り…燃え尽きた。
 卒業後、まずは復帰前の沖縄に放浪旅、山梨県清里では牧場生活…。初仕事といえば放送批評懇談会事務局勤務だった。月刊誌編集や芸能界にも関わった。1992年には世界初のリオ環境サミットに随行。その後、日本工業新聞の系列会社に勤め、産経に移籍後は2004年に創刊されたビジネス紙で活躍。経産省や産学連携スペシャリスト等の公職にも従事した。
 音楽活動を再開するのは定年後の2010年。地域再生支援活動をも展開。東日本大震災発生の約一ヶ月後から被地支援活動で東奔西走するうちに妻の介護が始まる。亡き妻たっての願いということもあり2015年に地元での「森の音楽会」が誕生した。野火止野鳥の森(ホタルの里)を会場に、生歌・生演奏、手作り歌集で来場者とともに歌うスタイルを貫き、春秋年2回開催している。来る10月12日で19回目。新座稲門会有志、WFSOB、著名なバイオリニスト、虚空舞のダンサー、里神楽伝承者らが次々と来演。是非ご来場下さい。
 ※おでかけ情報参照


■おでかけ情報



あらかじめ確かめてからお出かけください。
定休日が祝日の場合は翌日休となる等もあります。

昭和100年 日常の風景
−太田隆司ペーパーアートの世界−

開催中〜11/3(月祝) 9:00〜18:00 300円 月曜休館 石神井公園ふるさと文化館 練馬区石神井町5-12-16 (石神井公園駅15分) 03-3996-4060

木と貝でつむぐ杉山雅子のファンタジー
開催中〜11/24(月振休) 9:30〜16:30 入場無料
火曜休園 牧野記念庭園記念館企画展示室 練馬区東大泉
6-34-4(大泉学園駅南口5分) 03-6904-6403

高齢者もこどももみんなごちゃまぜ?
−交流からはじまるつながりづくり−
10/4(土) 14:30 十文字学園女子大学 新座市菅沢2-1-28(JR新座駅8分)048-477-0958 講師/岩崎隆ほか コーディネーター/佐藤陽(人間福祉学科教授)
 
第51回美術の祭典 東京展
10/8(水)〜14(火) 9:30〜17:30(最終日14:00)
1000円 東京都美術館 上野公園(JR上野駅公園改札7分) ※絵本の部屋に「道の会」から3名出展 ※特集面参照 

菊地吉紀 陶・木・展「創る」
10/9(木)〜14(火) 11:00〜18:00(最終日17:00)
ギャラリー・スペースM 志木市本町1-2-2 048-474-8486 ※新座栄の工房「トーユーボー鈴美」からの出展 唯一無二メタリック風合いの植木鉢、茶器など 

成増童謡まつり
10/11(土) 13:00 入場無料 成増アクトホール 板橋区成増3-11-3(成増駅北口) 03-5998-6881
※童謡作詞家「清水かつら」を顕彰する祭。第34回目

第19回 森の音楽会
10/12(日)13:00 入場無料 野火止野鳥の森(ホタルの里) 新座市野火止3-5-15(新座市役所8分) 雨天時は西分集会所 曲目/懐メロ・童謡唱歌・フォ−ク&POPS問合先080-6622-1359コミノ ※エッセイ参照

●第10回 野火止用水灯明まつり
10/18(土) 15:00〜18:30 野火止ふるさと広場(雨天時は野火止公民館) 新座市野火止6-1-48(JR新座駅10分) 048-478-4523 問合先090-5783-6341
チーム・キャロット横山

●キーウ・クラシック・バレエ「白鳥の湖」
10/25 (土) 15:00 4800円 練馬文化センター 練馬区練馬1-17-37(練馬駅1分) 03-3993-3311
※チャイコフスキー作曲 全2幕

●福田博子遊筆展
10/25(土)・26(日) 10:00〜17:00入場無料 和光市民文化センターサンアゼリア 和光市広沢1-5 048-468-7771 ※未来の福島こども基金チャリティコラボ
主催/ハッピーエンディングをめざす会 問合先090-7209-1147かぎわだ ※特集面参照

●歌声喫茶ともしびin大泉学園
10/28(火)・11/17(月) 14:00 2000円(要予約03-6914-1621ともしび音楽企画) 大泉学園ゆめりあホール(大泉学園駅北口1分) 03-5947-2351 

●映画『盤上の向日葵』
10/31(金)〜 TジョイSEIBU大泉ほか 原作/柚月裕子 主題歌/サザンオールスターズ 出演/坂口健太郎渡辺謙 佐々木蔵之介 土屋太鳳 高杉真宙

●装いの翼 いわさきちひろ、茨木のり子、岡上淑子10/31(金)〜2/1(日) 10:00〜17:00 1200円 月曜休館 ちひろ美術館・東京 練馬区下石神井4-7-2(上井
草駅7分) 03-3995-0612

●松永安左ヱ門生誕150周年記念展
11/1(土)〜12/27(土) 9:00〜17:00 無料 月曜休館 新座市立歴史民俗資料館(れきしてらす) 新座市野火止2-9-37 048-481-0177 ※茶人耳庵

●新座ウインドオーケストラモッソ第10回定期演奏会
11/9(日) 14:00(13:30プレコンサートあり)入場無料 新座市民会館 新座市野火止1-1-2(バス停新座市役所前4分) 048-481-1111 曲目/真島俊夫の世界「Mont Fuji(富士山)〜北斎の版画に触発されて〜」ドラ 
ゴンクエストによるコンサート・セレクション

●立川志らく独演会 〜ひとり談志祭り〜
11/21(金) 19:00 3800円 練馬文化センター 練馬区練馬1-17-37(練馬駅1分) 03-3993-3311
問合先0570-06-6600

●「遺伝性がん当事者からの手紙」写真パネル展11/21(金)〜12/12(金) 国立埼玉病院1階会計窓口前和光市諏訪2-1 048-462-1101

●「ウィンナー・クラシック」 モーツアルトの響き11/24(月祝)13:30 3500円 新座市民会館 新座市野火止1-1-2(バス停新座市役所前4分) 048-481-
1111曲目/ディヴェルティメントニ長調 交響曲第41番ハ長調「ジュピター」問合先080-4298-9246大竹

●大相撲新座場所
12/21(日) 新座市民総合体育館 048-478-8011


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