杉山英明(新座交響楽団代表) 

すぎやまひであき1933年東京生まれ。青山学院大卒。
外資系会社を定年退職後、新座交響楽団代表
新座国際交流委員長等を歴任。新座市野火止在住。


埼玉県に「文化ともしび賞」と称する賞が有ります。その賞にどれだけの重みが有るのか知りません。何年経っても上達しないチェリストもどきが「継続は力なり」なんて言っても説得力は有りませんよネ。でも…呼び掛けに応じて行ってみたらそこにいたのは十人足らず。メンバーは足りない、お金は無い、楽譜も無ければ大型楽器なんて夢のまた夢。電車の中や街中で楽器を持っている人を見つければ、誰彼構わず声をか け、駅前でチラシを配り楽譜はカードで支払いを延ばし、コントラバスは遠く千葉まで借りに行く。折角メンバーが増えたかと思うとやれ結婚だ、出産だ、或は転勤だということで減ってしまう。まさにチータの「三百六十五歩のマーチ」、三歩進んで二歩下がる歩みでした。それが或る日ふと振り返って見れば、合唱団員百二十人と第一回の「第九」を演奏したのを初め、「第九」の演奏会は十回に及ぶし、結成二十周年記念として、オーストラリアの二つの小さな町で、夫々のアマチュア・オーケストラと一緒に演奏もやり、この五月には「日蘭交流
四百周年記念」としてオランダから来るアマチュア・オーケストラとの演奏会を持つまでになりました。まさに「継続は力なり」。こんな細々とした努力が認められたのか「文化ともしび賞」を頂きました。額縁も一緒に頂いたので、とても重い賞でした。